学校カスハラ対策指針 「教職員を守りたい」 茨城・水戸市教委
学校でのカスタマーハラスメント(カスハラ)対策を強化しようと、茨城県水戸市教育委員会は、保護者らによる教職員への過度なクレームなどに対する対応指針をまとめた。「理不尽な要求に応じない」「応対時間は原則1時間以内」など4項目で構成。過剰な苦情や不当な要求など悪質な事案に対しては、警察への通報や法的措置を検討するとの内容も盛り込んだ。市教委は「統一的な対応指針の下、教職員を守りたい」としている。
市教委などによると、教職員向けカスハラ対策の指針をまとめたのは県内初とみられる。市立小中学校と義務教育学校全48校を通じて4日までに、各家庭に通知した。
市教委によると、近年、教職員が保護者らから長時間の拘束や威圧的な言動を受けるなど解決困難なケースが増加傾向にある。理不尽な要求により、時間外労働の増加や仕事の意欲低下、心身の不調など、教職員や学校運営に影響が出ることも少なくないという。
指針は4項目を柱に構成。「理不尽な要求には応じない。毅然(きぜん)とした態度で対応する」「応対時間は話し合いの冒頭で相手方に通告し、原則1時間以内を目安とする」などと定めた。複数人で対応するなど教職員を孤立させないよう徹底を図るほか、大きな声で怒鳴る行為に対しては「静かに話すように注意を促す」とした。
過剰な苦情や不当な要求など悪質なケースは学校運営や教育活動に重大な影響を及ぼすと判断し、「警察への通報や法的措置を講ずる」と明示。過去に教職員の人格を否定するような言動も見られたことから、市教委は「教職員の人権や就業環境を脅かす言動に対してはより強い対応が必要で、一歩踏み込んだ内容とした」と強調する。
併せて、保護者らに暴言や大声、過度な要求、交流サイト(SNS)での誹謗(ひぼう)中傷などの行為を控えるよう協力を求めるポスターを全校に掲示した。
学校でのカスハラ対策を巡って、市教委は学校管理職OBらを学校支援員として配置して問題解決に当たっているほか、各校が弁護士と直接相談できる体制を構築。電話でのクレームなどを記録するため、10月までに市内全48校に通話録音機能を整えた。
今後は各校ごとに詳細な対応策や体制づくりを進める。市教委は「対応方針に基づき、過度な要求を阻止し、教職員が心身ともに安心して働ける環境を確保したい」とした。












