六角堂 ベンガラ塗り直し 北茨城・茨城大五浦研究所 長屋門修復はCF活用へ
茨城県北茨城市・五浦の岡倉天心(覚三)ゆかりの「六角堂」について、管理する茨城大学五浦美術文化研究所は、塩害などで退色が進む建屋の木壁を本年度中に赤色顔料「ベンガラ」で塗り直すと発表した。同研究所設立70年を記念した主力事業の一つ。旧天心邸の入り口にあった「長屋門」(登録文化財)についても、クラウドファンディング(CF)で寄付を集め来年にかけて修復を行う。
六角堂は、美術思想家の天心が思索の場として1905年に建てた建物。2011年の東日本大震災の津波で流失し、翌12年には多くの支援を受けてベンガラが塗られた当時の姿によみがえった。だが、再建から13年が経過する中で、木壁は塩害や経年による劣化が進んでいる。
同研究所は創建時の姿を後世に継承するため、70周年記念事業として、来年の震災15年に合わせベンガラで再塗装することを決めた。資金は、同大が開発しサザコーヒー(同県ひたちなか市)が商品化した「五浦コヒー」の売り上げを活用する。塗装は本年度中に実施する予定。
一方、長屋門は築100年余で、竹を使った杉皮葺(ぶ)きのひなびた造りの屋根や重厚な造りが特徴。前回の葺き替えは5年前に行われたが、予算の都合で屋根全体のうち半分のみの補修となった。その影響で未補修部分の劣化が進み、一部で雨漏りが生じている。
ただ同大は、国からの運営費交付金の減少や物価高による財務状況の厳しさから、関連の遺跡については、最低限の維持管理をする予算確保にとどまっている。このため、今回の長屋門の修繕に関しては、CFを実施することとなった。
記念事業はほかに、同研究所で16日まで、天心ゆかりの日本美術院で活躍する日本画家、手塚雄二氏の企画展を開催。手塚氏が蒔絵(まきえ)を施した茶器「棗」や、六角堂の「スケッチ」などを並べている。
同研究所の片口直樹所長は「天心は日本の文化財保護に尽力するなど多大な功績を残した。描いたビジョンを視覚的に感じていただくためにも、震災復興の象徴でもある六角堂などを美しい姿で後世に残す必要がある」と事業への協力を呼びかけている。
CFの実施期間は12月23日午後11時まで。第1目標額は屋根ふき替え費用の400万円。関連サイトのURLは次の通り。
https://readyfor.jp/projects/izura_6kakudo_2025












