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チーズに合う日本酒開発 茨城県と常陸太田の酒蔵 欧州への輸出後押し

レシピを基に造られた「松盛 チーズに合う日本酒」=常陸太田市小沢町
レシピを基に造られた「松盛 チーズに合う日本酒」=常陸太田市小沢町


茨城県産日本酒の輸出を後押しするため、県産業技術イノベーションセンター(同県茨城町)が同県常陸太田市の老舗酒蔵と共同で、「チーズに合う日本酒」を開発した。茨城県の友好提携都市のイタリア・エミリア・ロマーニャ州との縁がきっかけ。同国産チーズと県産酒のペアリング調査を行い、チーズに合う日本酒のレシピを作成した。同国をはじめとするチーズ文化の欧州で、県産酒の魅力を広める足掛かりとなりそうだ。

県は1986年、同州と友好提携を結んだ。昨年2月、大井川和彦知事が県産品をPRしようと現地を訪れたのを機に、輸出に向けた情報収集の一環として、県産酒と現地食材のペアリング調査が始まった。

日本酒造組合中央会のまとめによると、2022年から23年にかけ、日本酒の輸出額で最も伸び率が高かったのは台湾で、2番目がイタリアだった。県内でも欧州向けに輸出する蔵は少なく、新たな販路として期待がかかる。

調査では、モッツァレラとパルミジャーノ・レッジャーノ、ゴルゴンゾーラ・ドルチェのチーズ3種に対し、同一メーカーの日本酒4種との官能評価を行った。同センターの沢畠真名美さんは「チーズの苦みと香りの余韻がどのように出るか」を相性のポイントに挙げ、評価の結果、日本酒成分のうち甘みに関係するグルコースが高いと苦みを感じにくく、アルコール濃度や、甘口・辛口の目安となる日本酒度が高いと苦く感じやすい傾向が出た。日本酒特有のフルーティーさが、チーズの余韻に影響することも分かった。

最も日本酒に合うチーズとしてゴルゴンゾーラに絞り、レシピ作成を進めた。さらに同じ原料で異なるメーカーで造られた日本酒4種を試したところ、製造場所によって相性が変わることが判明。酒造りに欠かせない仕込み水の違いが原因だった。カルシウムとマグネシウム濃度が高い方が、チーズのうま味を引き立たせていた。重点となる成分の目標値を設定し、「チーズに合う日本酒」のレシピを完成させた。

レシピを基に商品化したのは常陸太田市で創業150年の岡部合名会社。岡部彰博社長(44)は「新しいことに挑戦しようと思った」と「松盛 チーズに合う日本酒」を商品化。甘みがあり、チーズの塩味を引き立てる味わいで、味に骨格がありつつも、柔らかい口当たりに仕上がったという。

同社の輸出は現在、東南アジア向けだが、全体の1割に満たない。「松盛-」を足掛かりに欧州にも展開し、「2割まで高めたい」と意気込む。

地元での相乗効果も期待される。常陸太田市にはチーズの加工所があり、「松盛-」とのペアリングも楽しめる。岡部社長は「(外国人の)日本酒への興味の入り口になれば」と期待し、地元の人に向けても「チーズとの組み合わせを楽しんで」と笑顔を見せる。

「松盛-」は1本720ミリリットル、1870円。同社オンラインストアや酒販店で購入できる。



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