《広角レンズ》J2水戸昇格したら… 地元、経済効果に期待 観客増で宿泊や飲食 茨城県内で期待高まる
サッカーJ2水戸ホーリーホックがJ1昇格を争う中、茨城県内の企業や経済団体が、昇格した場合にもたらされる来季の経済波及効果やにぎわい創出に早くも期待を膨らませている。他クラブの昇格元年に54億円超に上ったとの例もあるからだ。一方でホーム試合開催日には多くの相手サポーターが訪れることから、受け入れ体制を心配する声も出ている。
ホーム試合の観客数は今季、水戸が首位争いの中心になった8月以降、7000~9000人台まで増えた。7月までは少ない日で2000人台だったが、今季最多は1万人に迫り、明らかに観客は増えている。開催日にJR水戸、赤塚両駅から本拠地ケーズデンキスタジアム水戸までシャトルバスを運行する茨城交通(同県水戸市)。観客増に対応するため、最少で各6便だった本数を各12便に倍増させた。
■セール計画
水戸が昇格を果たすと、来年2~6月までの特別大会「百年構想リーグ」で東日本のクラブが入るグループに参加する見通しだが、同社の担当者は「多くのアウェーサポーターが電車で水戸まで来て、バスで運ぶ人は増える」と予測。水戸のサポーターがアウェー試合を観戦するバスツアーも参加増を見込み、「街じゅうがにぎわったり、アウトバウンドでの活性化も望める」と声を弾ませる。
2001年から水戸とスポンサー契約を結ぶ家電量販大手のケーズホールディングス(同市)。平本忠会長は、「(初昇格を果たしたら)セールを計画したい」と意気揚々だ。「鹿島アントラーズとの県内対決もできるので盛り上がりに期待している」と熱く語る。
■にぎわい創出
ケーズデンキスタジアム水戸が正式に本拠地として使われるようになった10年以降、スポンサーになっている水戸商工会議所。担当者は街のにぎわい創出に期待をかける。「遠方のチームのサポーターは宿泊を伴い、飲食店にも波及効果が及ぶ」と見据える。
ホーム試合開催日にスタジアムにおもてなしブースを設ける水戸観光コンベンション協会は「梅酒やみとちゃんグッズなどのお土産をより多く買ってもらえる」と算段する。偕楽園や弘道館など市内の観光名所PRも強化したい考えだ。
一方で、心配されるのがホーム試合開催日に予想される混雑だ。同協会の担当者は道路渋滞や駐車場の確保、両チームのサポーターを分離する動線など、受け入れ体制の整備を課題に挙げる。「昇格したら、われわれも含めてきちんと対応できるようにしないと」と話した。
■54億5000万円
J1昇格元年の経済波及効果はどのくらいに上るのか。民間のシンクタンク「スコップ」(長野)は15年にJ1で1シーズンを送った松本山雅FCと共同で、同年のクラブ運営に伴う経済波及効果を約54億5000万円と算出した。
消費支出額(初期需要)は約48億円で、J2に昇格した12年に比べ2倍超の規模となった。アウェーサポーターが訪れたことによる場内消費をはじめ、スタジアム外での飲食費や土産品購入、宿泊費といった消費効果が大きかったとしている。











