茨城・役所車突入 被告に懲役15年求刑 検察「広く衝撃」 水戸地裁
2023年に茨城県日立市役所の広場で車を走らせ人をはねて殺害しようとし、さらに同県東海村役場にも突っ込んだとして殺人未遂などの罪に問われた日立市久慈町、無職、益子泰被告(55)の第8回裁判員裁判論告求刑公判が6日、水戸地裁(有賀貞博裁判長)で開かれ、検察側は「被害者のみならず一般市民に広く恐怖、衝撃を与えた」などとして懲役15年を求刑した。判決は14日。
検察側は論告で、広場の事件について、益子被告はイベント会場に偶然居合わせた面識のない被害者に向けて車を加速させたとし、「無差別的で極めて危険な犯行。市民が安全かつ平穏に暮らせる社会にするためにも厳しい処罰が必要」と主張した。
当時、広場の柱を避けながら走るなど適切に運転し、約30分後には村役場に車で突っ込むという事件の連続性などから「意識障害があった者の行動とは到底考えられない」と非難。事件は自己の不満を周囲に思い知らせるという身勝手な動機で、違法性を認識していたとし「完全責任能力があった」と述べた。
最終弁論で弁護側は、広場で当時、一過性脳虚血発作や統合失調症による脳萎縮、服薬の影響で意識障害を起こしたとして「殺人未遂と傷害罪は成立しない」と主張。役場などの損壊事件に争いはなく「弁償の意志がある」とし、懲役3年、執行猶予5年が相当とした。
起訴状などによると、23年12月6日午後0時58分ごろ、イベントの参加者3人を殺傷しようと、乗用車を加速させながら衝突させるなどし、重軽傷を負わせたとされる。さらに同1時29分ごろ、東海村役場の玄関に車を突入させ、自動ドアや建物内のオフィスチェアなど12点を損壊したとされる。











