「サツマイモ基腐病」 ひたちなかで2例確認 茨城県内3年半ぶり 拡大防止へ県が防疫措置
茨城県は6日、干し芋産地の同県ひたちなか市内で、病害の「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が2例確認されたと発表した。今秋の収穫後に貯蔵していたコンテナ内のサツマイモと、別の生産者の畑にあるサツマイモから見つかった。県内での発生は2022年に県北地域で確認されて以来3年半ぶりで、4、5例目。被害が拡大しないよう、県は土壌消毒などの防疫措置を進める。
県農業技術課によると、3日、複数のコンテナの中に黒ずんだサツマイモが確認されたとして、生産者から県県央農林事務所(同県水戸市)に電話があった。翌4日、同事務所が現地調査を実施。5日、県農業総合センター病害虫防除部(同県笠間市)で遺伝子検査を行い、陽性が判明した。
貯蔵していたサツマイモは「シルクスイート」と呼ばれる品種。倉庫内のコンテナ約370基に約7.4トンを保管し、生イモとして出荷するほか、干し芋の原料として使う予定だった。
県は6日、生産者の畑約18アールで土壌消毒を実施した。その際、消毒に当たっていた県職員が、近隣の別の農家の畑で基腐病が疑われるサツマイモを確認。遺伝子検査を実施し、陽性と判明した。収穫済みかどうかは不明。同畑や近隣農地の消毒は7日から順次始める。
サツマイモ基腐病は、カビ(糸状菌)が原因となる病害。感染すると根が黒っぽく変色したり茎が腐って葉が枯れたりする。症状が出ない場合もある。
同病害は18年に鹿児島県などでまん延し、大きな被害が出た。これまでに36都道府県で発生が確認されている。茨城県では21年6月に県南地域、同7月に県北地域、22年5月に同地域でいずれも苗から確認された。
まん延を防ぐため県は23年、国の改正植物防疫法に基づき「県総合防除計画」を策定。全国で初めてサツマイモの栽培で基腐病についての順守事項を定め、農業者への周知を図っている。
6日の記者会見で、県農業技術課の市村勉課長は「茨城はかんしょの大産地。防疫措置を速やかに進め、生産者への防除の徹底を指導したい」と述べた。












