《東京で躍動! デフリンピックに挑む茨城県勢》陸上800と1500・中村大地さん
■選手交流、やる気上昇
「世界で戦っていけるような結果を出したい」。東京デフリンピックの陸上800メートルと1500メートルの中距離2種目で、日本代表に選ばれた中村大地さん(19)=筑波技術大2年。昨年7月の世界デフユース選手権では両種目で銅メダルに輝いており、さらに大きな舞台での決勝進出を目指す。
練習は、近くの筑波大陸上同好会と自主練で週5、6回。「両種目の練習を交互にやり、バランスを取っている」。得意の800メートルでは強みのラストスパートを磨き、苦手意識のある1500メートルではスタミナ不足を克服しようと、地道に取り組んできた。
一つの成果は、自身初の国際大会となった昨年7月の台湾での世界デフユース選手権。強みのラストスパートを発揮し、両種目で銅メダルを獲得した。
デフ陸上では号砲を3色のランプで合図。赤は位置について、黄は用意、緑はスタートだ。レース中は後続を走る選手の足音が聞こえないため「会場のモニターに映るレースの様子を見て、どう走るか考え、レース展開につなげている」。
岩手県盛岡市出身。生まれつき難聴で、補聴器を着ければ手話がなくても会話できる。小学校、中学校は聴者と同じ地元の学校に通い、クラブや部活動でバスケットボールに汗を流した。
陸上を始めたのは、進学した岩手県立盛岡聴覚支援学校の高等部から。「他に部活がなく、仕方なく始めた」。バスケットボールで培った身体能力を生かして記録は伸びていったが、身は入らなかった。
2年時、ろう者の全国大会に出場したことで気持ちは一変。「出会った選手たちとの交流が頑張るきっかけになり、陸上が楽しくなった」。3年時には、同大会の800メートルと1500メートルの両種目で優勝を飾った。
その後も着実に力をつけ、初めてつかんだデフリンピック出場。家族や友人、高校時代の恩師など、多くの人が駆け付けてくれるという。
「自分のベストなパフォーマンスを見せたい。両種目とも決勝で走るのが目標」。大舞台で輝く姿を見せるつもりだ。
■なかむらだいち
岩手県盛岡市出身。2006年生まれ。筑波技術大産業情報学科の支援技術学コースに所属し、情報保障や情報のプログラミングなどを学ぶ。自己ベストは800メートルが1分59秒86、1500メートルが4分13秒76。












