茨城県内 介護資格、外国人1000人超 受け入れ拡大へ県支援
茨城県内で特定技能1号「介護」の資格を持つ外国人が1000人を超えたことが分かった。少子高齢化に伴い介護人材の需要が高まる中、勤勉な外国人材に対する評価の高まりが背景にあるとみられる。県は今後、主にインド人材の確保と受け入れ環境の整備を進め、介護事業者を支援する方針。定住が可能となる介護福祉士の資格取得を後押しし、将来にわたって県内介護事業の安定的な継続を図る。
厚生労働省の調査によると、県内の介護分野で特定技能1号を持つ外国人は2024年10月時点で1160人。改正入管難民法が施行された19年4月以降、毎年200人前後で増えていたが、23~24年度に一気に410人も増えた。
24年度の国別の内訳は、ミャンマー409人▽ベトナム265人▽インドネシア229人▽ネパール101人▽フィリピン82人-など。ほぼアジア人材で東南アジア出身者が目立つ。
県内の特別養護老人ホーム(特養)やデイサービス施設などで働く介護職員は、23年10月時点で4万2905人。これに対し必要な職員数(期待値)は4万4677人とされ、約1800人が不足している。さらに40年度の推計で、1万2000人が不足するとされる。
こうした状況を踏まえ、県は安定的な介護サービスの維持へ外国人材の活用と定住支援を進める方針。特に若い人材が豊富で語学に優れるインド人材に着目し、県内の介護事業者の理解や受け入れ体制の整備に向け、施策を展開する。
24年から採用に関するセミナーを2回開催。今月には3回目をオンラインで開く予定だ。また外国人材を送り出す機関の視察ツアーを、2月に続いて来年1月にも現地で行う。
特定技能の在留期間は通算で上限5年。定住するには期間の更新回数に制限がない介護福祉士の国家資格が必要で、試験問題を解くには日本語能力試験「N2」相当が欠かせない。
このため、県は日本語学習の講習会を複数回開いて試験対策を支援。介護の専門用語を含めて指導することで、介護現場に必要なコミュニケーション能力の向上も図っている。
筑西市の社会福祉法人征峯会は1月までにインド人材12人を新たに採用。特養では流ちょうな日本語で利用者に語りかけ、介護や運動指導などで活躍する。「仕事は大変だが楽しい」と口をそろえ、介護福祉士資格の取得にも前向きだ。
県は、こうした外国人の姿勢が日本人職員の士気を高めていると指摘。県福祉人材・指導課の西野孝子課長は「誰もが介護を受けられる環境づくりが県の責務。日本人だけでは埋められない現状で外国人材を積極的に活用し、定着に努めていく」と述べた。
★特定技能
人手不足対策として、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れるため、2019年に創設された在留資格。1号は農業や建設など16の産業分野、2号は11の産業分野で働ける。2号は事実上永住も可能で、試験などに合格すれば移行できるが、介護は産業分野に含まれない。












