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茨城・神栖市長選くじ決着 得票同数「本当なのか」 情報錯綜、支持者困惑

くじを引く境政一選挙長(左)=9日午後10時2分、神栖市木崎
くじを引く境政一選挙長(左)=9日午後10時2分、神栖市木崎


「本当なのか」「どうなるんだ」-。9日投開票された茨城県神栖市長選は現職、石田進氏(67)と新人、木内敏之氏(64)の両候補が同じ得票数となり、くじで木内氏の当選が決まった。両陣営は当選確実の報に歓喜したり、敗戦の弁を述べたりした後で、当落が決していないことが分かるなど情報が錯綜。異例の事態に、支持者は困惑の表情を浮かべた。

9日午後7時半に同市木崎のかみす防災アリーナで始まった開票作業。同9時の開票率81.98%時点で、1万3800票で並ぶ接戦となっていた。

「石田候補1万6724票。木内候補1万6724票。開票率100%」

会場にアナウンスが響いたのは同9時25分。ざわめきはほぼなく、市選挙管理委員会の職員は淡々と、当選人を決める「選挙会」の準備に取りかかった。

■混乱

その5分前。同9時20分ごろ、木内氏の選挙事務所には「当選確実」の情報が伝えられていた。木内氏は支援者と握手や抱擁を交わし、満面の笑みで万歳した。

事務所がざわつき始めたのは約30分後。電話を手に情報を確認する人たちが増え、「同数だって?」「どうなってるんだ」。

一方、同9時過ぎ、石田氏は選挙事務所で神妙な面持ちで「敗戦の弁」を述べた。支持者からは「お疲れさま」「よく頑張った」とねぎらいの言葉が飛んだ。

事務所に得票同数の情報が伝わると、戸惑いが広がった。「まだ行けるぞ」と期待する声も上がった。

まさかの得票同数に、両陣営とも翻弄(ほんろう)された。

■「1」

同9時50分過ぎ、境政一選挙長=市選管委員長=や選管書記長、書記長補佐、立会人ら計6人で構成する選挙会が始まった。同10時ごろ、境選挙長の前にくじが運ばれた。

くじは白い筒に入った2本の棒にそれぞれ「1」「2」の数字が記してあり、選挙長が引く。まず「予備くじ」を行い、当選者を選ぶ「本くじ」の順番を決定。木内氏の分を先に引くことになった。

境選挙長がくじ棒をつかむと、当選を表す「1」の数字。立会人が確認を終え、境選挙長は場内に木内氏当選を伝えた。時計は同10時5分を指していた。

選挙会は同10時半ごろ終了。木内事務所では「本当に当選らしいぞ」との声が飛び交い始めた。程なく、再び木内氏が登場し、2度目の万歳となった。

支持者からは「(くじ引きで)負けていたら納得できなかった」との声も聞かれた。木内氏は「あと1票取って(得票差で)勝ちたかった」と複雑な思いを吐露した。



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