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《広角レンズ》自治体職員、広がる副業 茨城県や市町村 人材確保、公務還元も

人手不足の中、ゴルフ場の清掃に追われる筑波カントリークラブの従業員=つくばみらい市高岡
人手不足の中、ゴルフ場の清掃に追われる筑波カントリークラブの従業員=つくばみらい市高岡


地方公務員による副業が茨城県内で広がりつつある。つくばみらい市は市内に点在するゴルフ場での勤務を職員に認めるほか、県も申請を条件に2019年度から副業を「原則許可」とし、件数も増加傾向にある。人手不足による人材確保や職員の地域貢献、公務への還元も図る。今年6月には総務省が副業を認める基準設定を自治体に促すなど、公務員による副業は今後も拡大しそうだ。

■採用苦慮

「キャディーやコース管理、レストラン業務など全ての部署で人手が足りない。ぎりぎり」。筑波カントリークラブ(つくばみらい市高岡)の松田浩治支配人は、就職希望者が集まらず採用に苦しむ現状を説明する。場内の清潔感は客足に直結するため、小まめな清掃は欠かせない。

市内には同クラブを含め4カ所のゴルフ場が点在し、いずれも人手の確保が喫緊の課題だ。このため市は昨年10月、各ゴルフ場と包括連携協定を結び、市職員がゴルフ場で働くことを認める方針を決めた。副業解禁を機に注目を集め、就職先としての認知度向上も目指す。

想定する業務はレストランでの配膳や広報誌の発送、イベント補助など幅広い。市は副業解禁に向け職員の勤務状況を確認し、副業が可能な部署を検討している。市企画政策課は「ゴルフ場には関係人口の創出や税収面で貢献していただいている。恩返ししたい」としている。

■基準設定

地方公務員法では、職員の副業を原則として不許可とする一方、任命権者の許可を受ければ「営利企業で定める地位を兼ね、自ら営み、報酬を得て従事」することを認めている。

こうした中、総務省は今年6月、自治体が副業や兼業を許可する基準を設け環境を整えるよう、全国の自治体に通知した。人口減少による人手不足を背景に地域の課題解決を促すほか、地方公務員の働き方の幅を広げることで人材確保にもつなげる狙い。

笠間市は通知に先立ち、在職1年以上の職員を対象に副業の許可基準を設けた。従事する時間を週8時間、1カ月30時間、勤務日に3時間をそれぞれ下回れば、信用失墜行為でない▽市と利害関係がない▽社会通念上、相当と認められる報酬-などを条件に副業を認める。

■原則許可

県も原則として認めていなかった職員の副業を19年度から、勤務時間や利害関係、中立性など一定の要件を満たせば「原則許可」する方針に転換した。企業や地域の活動に積極的な参加を促し、その経験を公務に生かすことで「職員の力を行政と地域どちらにも生かしたい」(県人事課)考え。

同課によると、副業の許可件数は19年度の32件から24年度は55件に増え、5年間で1.7倍に拡大。本年度は9月末時点で50件を超え、前年を上回るペースで推移している。主に翻訳や文筆業、運動や文化をはじめとした大会運営委員など、知識や経験を生かした活動を中心に申請があるという。

同課の担当者は「人口減少による人手不足の解消は大きな課題。民間の事業を支えるとともに、職員もさまざまな活動で身に付けた経験を公務に還元してもらえるといい」と期待を寄せている。



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