書道パフォーマンス拡大 水戸葵陵高卒業生が一役 茨城県内小中生に学びの場
音楽に乗せて華麗に舞いながら巨大な筆を走らせる「書道パフォーマンス」。高校生の全国大会「書道パフォーマンス甲子園」で知られるが、茨城県内では指導者の拡大とともに小中学生へ裾野が広がり始めている。一役買っているのは、同大会を目指し腕を磨いた水戸葵陵高(同県水戸市)の元生徒ら。「感動を味わってほしい」と、教育現場や習字教室での指導を通して魅力を伝えている。
10月上旬、水戸市見川町の水戸英宏中。総合文化部の1~3年生の男女7人が、床に敷いた紙の上で書道パフォーマンスの動きを確認し、見守る同高の書道部員たちが一人一人に助言した。
その様子を楽しそうに見つめる同中の教諭がいた。同高OGで書道パフォーマンス甲子園に出場したこともある江幡里奈さん(25)。昨年、同部に書道科を立ち上げ、パフォーマンスの混合チームを結成した。今年は恩師で同高書道部の辻哲一顧問に協力を仰ぎ、高校生が指導を手伝っている。
同中2年の星悠さん(14)は「最初は人前に出るのは緊張したけど、やってみて楽しいと思えるようになった」と笑顔で話す。江幡さんは「自分が書道パフォーマンスで得た感動を生徒にも味わってほしい」と願う。
書道パフォーマンスは現時点で、高校生中心の活動だ。発祥の地をうたう愛媛県四国中央市の書道パフォーマンス甲子園振興室によると、教育現場の事情が関係している。
高校には選択科目で書道があり、専門の指導者がいて、書道部がある学校も多い。一方、小中学校での書道は国語の教科の一部で、専門の指導者がいない、書道部がない学校は多く、同室の担当者は「高校と環境が違う」と指摘する。
こうした状況でも、県内では、小中学生が書道パフォーマンスに親しめる環境が徐々に広がる。高校時代に熱中した世代が社会人となり、指導の機会が増え始めた。同中の例にとどまらず、同県笠間市の習字教室でも同高のOGが活躍する。
同教室を営む入江和美さん(65)は今年1月、教室に通う小中学生と、書道パフォーマンスチームを結成。教室出身で、同高OGの1人が指導協力し実現した。旅館だった自宅広間を練習用の道場に改築、10月4日に初舞台を踏んだ。
入江さんは「10年前だと経験者がおらず、誰にも頼れなかった」と語り、指導者の拡大を歓迎した。












