多様な学び児童に変化 リリーガーデン小開校半年 農業や販売通し体験共有 室内テントで自分空間 茨城
北関東初の学びの多様化学校「リリーガーデン小」(茨城県水戸市)が今春に開校してから半年以上がたった。開校時の入学生13人は現在も全員が元気に通学し、県内外からの視察や問い合わせが増えている。既存の学校とは一線を画す特色ある学校環境や教育課程の下、一度は学びやから遠ざかった児童らにも笑顔が浮かび、前向きな変化が表れている。
学びの多様化学校は文部科学大臣が指定し、不登校傾向などがある児童生徒に合わせた特別な教育課程を編成する。全国では今年4月時点で58校設置されている。茨城県では同校のみで、2~6年生計16人が現在通学し、県外からの入学者もいる。
■不登校最多
文部科学省の調査では2024年度、年間30日以上欠席した不登校の県内児童生徒は8682人で、23年度からほぼ横ばい。全国では小中学生の不登校が過去最多の35万3970人に上っている。増加傾向にある現状に対応するため、国は将来的に学びの多様化学校を全国に300校ほど設置することを目指している。
同校の教育課程をみると、1こま45分間の授業を、年間で1年次に850こま、2年次910こま、3年次900こま、4年次910こま、5年次910こま、6年次920こま設定。このうち「アウトドアとスポーツ」「アグリカルチャー」「地域とキャリア教育」の三つの体験学習型の新設教科を各35こまずつ全学年で設定している。
新設教科は、国語や算数といった基礎教科の授業数を減らした分を充てている。キャンプや農業、マルシェなどによる体験学習を重視しつつ、こうした授業の中に基礎教科の分野を取り入れることで、楽しさだけでなく学力も支えている。
■子ども目線
学校環境も既存の学校とは大きく異なる。教室内に自分の空間を保つためのテントを設けたほか、好きなことに打ち込めるフリースペースや児童らが気軽に入れる職員室など、室内一つ一つが子ども目線で作られている。広い敷地を生かし、児童と保護者が一緒にキャンプをして過ごす企画も行っている。
4月にあった開校を祝う会では緊張していた様子が見られたが、アグリカルチャーの一環で取り組んだ5月の田植え時には、お互いを名前を呼び合い協力しながら作業に当たり、友人関係を育んでいた。10月には不登校支援を目的としたイベントでブースを設置。同県大子町で取れたリンゴを使って「りんごあめ」を作る探究に取り組んだ児童が、成果を紹介しながらりんごあめを販売した。
児童の一人は「自分から学校に行きたいと思えるようになった」と話す。ある保護者も「友達と楽しそうに過ごし、これまでとは別人みたいに生き生きとしている」と子どもの様子に変化を見ていた。
鈴木研介校長は「学校に行きたいと思ってくれることがその子なりの努力」と捉え、「行きたいと思ってくれる気持ちを大切に受け止められる学校にしていきたい」と話した。












