食品寄付、呼びかけ強化 ロス削減へ茨城県と企業一丸 回収場所情報を公開
食品ロス削減へ向け、茨城県は家庭で余った食品を福祉施設などへ寄付する「フードドライブ」の取り組みを強化している。本年度から市町村や企業、団体と連携し、2カ月にわたり県内一丸で進めるキャンペーンを設定したほか、受け入れ場所の情報を一元化して公開も始めた。幅広く周知することで寄付の呼びかけや認知度アップを図る。
サッカーJ1鹿島のホーム戦が行われた8日、同県鹿嶋市神向寺のメルカリスタジアムの場外に、同チームと県、NPO法人フードバンク茨城、昭和産業(東京)が連携し、特設ブースを設けた。ブースには食品回収箱を配置し、訪れたサッカーファンらに協力を呼びかけた。
回収の対象は、賞味期限が2カ月以上残る常温保存可能な未開封の食品。パッケージの表示は日本語に限られる。この日は鹿島のユニホームを着たサポーターら約100人がカップ麺や缶詰、ペットボトル飲料水などを持ち寄り、計64.4キロ分の食品が集まった。
菓子やインスタント食品を寄付した同県日立市の田村義和さん(41)は「食べたいものが食べられない子どもたちの助けにしてほしい」と話す。乾燥マカロニを持ち込んだ同県つくば市の阿部直也さん(34)も「フードロスは世界的な問題。少しでも協力したい」と、今後も寄付を続ける考えを語った。
■もったいない
食品ロス削減に向け、企業や団体による取り組みが進む。この日のイベントでは、昭和産業がホットケーキミックスを中心に計241キロの食品を寄付。同社コーポレート・コミュニケーション室の山下聖児室長は「廃棄やロスが『もったいない』という意識が芽生えるといい」と話す。
県内ではこのほか、食品スーパーのカスミやヨークベニマル、大手コンビニのファミリーマートなどが各店舗で常設の回収箱を設置。セブン-イレブン・ジャパンやローソン、県生活共同組合連合会なども、社員を対象に寄付の呼びかけを進めている。
■機運醸成
県は本年度、10~11月を食品寄付の呼びかけを強化する期間に設定した。「いばらきフードドライブキャンペーン」として、市町村や企業、団体と連携したイベントを展開し、食品ロスの削減と生活困窮者や子どもたちに対する支援を進める方針。
県環境政策課によると、食品スーパーやコンビニ店に加え、市町村や社会福祉協議会など、県内で寄付を受け付ける常設の窓口や回収箱を設けているのは計372カ所(10月9日現在)。このうち、フードバンク茨城による「きずなBOX」は計219カ所に上る。
県はキャンペーンに合わせ、こうした窓口や回収箱の場所のほか、市町村や企業などのイベント情報を集約して県ホームページで公開。フードドライブに県全体で取り組む機運を高め、認知度アップにつなげたい考え。同課は県内一斉のキャンペーンについて「期間も含め、今後さらなる展開を検討していきたい」としている。












