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内部告発者を懲戒、訴訟 不利益な扱い相次ぐ 茨城県内でも 法で禁止も依然リスク

以前働いていた社会福祉法人を相手取り訴訟を起こした大兼政友介さん=東京都内
以前働いていた社会福祉法人を相手取り訴訟を起こした大兼政友介さん=東京都内


勤務先の不正や問題を内部告発したり、福祉施設で起きた虐待を通報したりした人が、懲戒処分や嫌がらせを受けたりするケースが相次いでいる。公益通報者保護法では通報者などに対する不利益な取り扱いを禁止しているが、通報には依然としてリスクが伴うとみられ、通報者保護を求める声が上がっている。

茨城県内では、つくばみらい市の障害者福祉施設で働いていた大兼政友介さん(46)=大阪府在住=が2021年、施設職員による女性利用者への性虐待事件の通報などを巡って施設を運営する社会福祉法人とトラブルになり、訴訟に発展。東京高裁は今年7月、大兼政さんに対する法人側の名誉毀損(きそん)を認定する判決を出した。

大兼政さんは現在、自身と同じ境遇で苦しむ人々を支援しようとホームページを立ち上げ、通報者保護の必要性を訴えている。

公益通報者保護法は、所属組織の不正を内部通報した人や、外部に公益通報をした人に対する不利益な取り扱いを禁止するとともに、通報体制の整備を求めた法律。公務員も対象となる。従業員が300人を超えていれば通報窓口の設置は義務で、300人以下の場合は努力義務。組織の担当者には守秘義務を課している。

■市議への相談を非難 つくばみらいの施設

大兼政さんが働いていた、つくばみらい市の障害者福祉施設では2021年、施設職員による女性利用者への性虐待事件が起きた。

大兼政さんは事件後、障害者虐待防止法に基づき市へ通報し、同市議の1人に相談。しかし、法人理事長(当時)からは市議への相談を守秘義務違反と指摘され、他の従業員もいる朝礼で「あちこちに電話をかけまくっている」などと非難されたという。

23年1月に水戸地裁に労働審判手続きを申し立てたが、定められた3回以内の審理で決着せず訴訟へ移行。今年7月、東京高裁の判決が確定した。

高裁は判決で、大兼政さんが相談した市議について、議会の監視権を踏まえ「規定されている外部通報先に該当し得る者ともいえ、直ちに守秘義務に違反すると断ずることはできない」と認定。理事長の発言は「(大兼政さんの)社会的信用を害する不法行為」と名誉毀損を認め、法人側に慰謝料の支払いを命じた。

大兼政さんは「(法人が)通報しなかったのでやらざるを得なかった。周りも見て見ぬふりだった」と話した。



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