サツマイモ基腐病拡大 茨城県内産地、対策望む声
サツマイモ基腐(もとぐされ)病が茨城県ひたちなか市で新たに確認され、県が18日、市内に緊急事態宣言を出したのを受け、県内の農家や干し芋販売業者からは、不安の声や有効な対策を望む意見が聞かれた。茨城県はサツマイモの栽培面積、生産量ともに全国第2位の大産地で、甚大な被害が出かねない状況だ。発生原因は現時点で不明で、関係者は病害の広がりを注視している。
「これ以上被害が拡大しないよう、徹底的に調べてほしい」
ひたちなか市内で農業を営む60代男性は、県が発生原因をしっかり突き止めるよう求めた。防疫指導に非協力的な農家も見受けられるとし、「お願いベースではなく、指導に強制力を持たせるべきだ」と訴えた。
同市の40代農業男性は「自分の所と(発生エリアは)距離が離れているので切羽詰まるほどの心配はしていない」と話す一方、10ヘクタールほどの作付面積があるとし、「もしうちで(基腐病が)出たら倒産の危機になるかもしれない」とも語った。
市内を管轄するJA常陸は、県の指示を受けて消毒など防疫体制の支援補助を行っている。どのような原因で基腐病が広がったか判明していないため、農家には対策などの情報を伝えていないという。
同JA担当者は「農家には相応の危機感を持って協力いただいている。県と協力し、これ以上広がらないように取り組む」とした。
市外の農家も、気がかりな様子だ。自社栽培したサツマイモなどを直売する同県行方市の「タカラファーム」は、九州では感染の影響が長期化していると指摘。「一度菌が広がると大変。土壌の消毒以外に対策はなく、様子を見ていくしかない」と話した。
同県鉾田市のある農家は、卸売業者が複数のほ場で集荷するのに使い回すコンテナを通じ、病害が広がる可能性を危惧。予防のため「感染したほ場近辺のコンテナは貸し借りしてはいけない」と強調した。
基腐病が拡大した場合、収穫量の大幅減につながりかねない。サツマイモを原材料とするひたちなか市の特産品、干し芋の製造業者にも懸念が広がる。
干し芋製造、販売の幸田商店(同市)の担当者は「危機感がある。根本的な原因と対策が明らかにならないと、一企業ではどうすることもできない」。発生が確認された農家については、将来的に風評被害を受ける可能性もあるとし、「地域で連携して農家を助けられるようにしたい」と語った。












