次の記事:給食にカメムシやアブラムシ混入 4小中学校、19人分で確認 野菜の洗浄不十分が原因 茨城・つくば 

茨城県、サツマイモ基腐病拡大で緊急事態宣言 ひたちなか全域対象に

臨時の記者会見を開き、発生の経緯などを説明する大井川和彦知事=県庁
臨時の記者会見を開き、発生の経緯などを説明する大井川和彦知事=県庁


干し芋の産地、茨城県ひたちなか市内で病害「サツマイモ基腐(もとぐされ)病」の感染が相次いでいることから、県は18日、同市全域を対象に独自の「緊急事態宣言」を出した。大井川和彦知事が記者会見を開き、同日新たに2例確認したことを明らかにした上で、「基腐病が広がってきている可能性が出てきた。しっかりと根絶することで産地を守っていきたい」と強調。感染拡大により収穫量の大幅な減少など深刻な事態につながる可能性があるとして、生産者らに防疫措置への協力を求めた。

県によると、サツマイモに対し緊急事態宣言を出すのは初めて。期間は定めておらず、土壌消毒など発生場所周辺の防疫措置を終えるまで発出し続けるという。同市内では、今季収穫した貯蔵中のサツマイモから5日に陽性が判明したのを始め、6例の感染確認が相次いでいる。

県は、最初に発生が確認された畑から500メートル周辺を、市やJAの職員と協力して土壌消毒などを進めている。他の作物を生産する畑も含め計26ヘクタールを消毒する方針で、既に約7割を終えた。20日の完了を目指し作業を進めている。

県内で基腐病が発生したのは、2022年に県北地域で確認されて以来3年半ぶり。今季は1例目の陽性判明後、別の生産者の畑で栽培していたサツマイモの感染が翌6日に判明。さらに11日に近くの畑で2例の感染を確認した。18日にも、近くの2カ所から陽性が判明した。

基腐病を巡っては、18年に鹿児島県などでまん延し被害が出ていた。感染拡大防止のため茨城県は23年、県総合防除計画の中に全国で初めて生産者に対する順守事項を盛り込んだ。発生した畑については原則2年、作付けできず、種芋を採取できない。

大井川知事は記者会見で「基腐病の疑いが少しでもある場合は県に通報してほしい。土地を所有する皆さまには(消毒の)同意と協力をお願いしたい」と理解を求めた。

県は原因を調べるとともに、感染の疑いがあるサツマイモを見つけた場合に各地域の農業改良普及センターに相談するよう呼びかけている。

★サツマイモ基腐(もとぐされ)病

カビ(糸状菌)が原因となる病害。保菌した苗やイモ、残さなどが伝染源となる。水しぶきや水たまりを介して、ゆっくりと拡散される。感染すると、根が黒っぽく変色したり茎が腐って葉が枯れたりする。症状が出ない場合もある。これまでに茨城県を含め沖縄や鹿児島、群馬、東京、千葉など36都道府県で発病が確認されている。



最近の記事

茨城の求人情報

https://cpt.geniee.jp/hb/v1/207318/39/instbody.min.js"