J2水戸の昇格待ち望む 選手通う洋食店主・大塚さん 体調管理、寄り添う 茨城
サッカーJ2水戸ホーリーホックが23日、勝てばJ1昇格となる天王山・長崎戦に挑む。多くのサポーターが敵地での昇格決定の瞬間を待ち望んでいる。チーム関係者が通う茨城県水戸市五軒町の洋食店「レストラン マロン」の店主、大塚巌さん(52)もその一人。長年、選手などと交流し、喜び、悔しさを分かち合ってきた。「期待と不安が入り交じる」と胸が高鳴る中、当日はパブリックビューイング(PV)会場から選手たちを後押しする。
水戸市の繁華街に構える同店は大塚さんの祖母が立ち上げ、今年で62年目。奥行きのある店内にはホーリーホックのグッズがずらりと並ぶ。入り口付近には引退した選手のユニホームや今季の選手全員分のサイン色紙がそろう。
選手に料理を提供する際は体調管理や栄養バランスに気を配る。胃もたれしやすい揚げ物は避け、油はオリーブオイルのみ使用。試合後の来店時は疲労回復のため、豚肉料理などを振る舞う。
在籍した外国人選手に母国料理を研究して提供することもあった。ベトナム、ブラジルなどのレシピ本は数知れず。「故郷の味でホームシックを癒やしたい」との思いからだ。
ホーリーホックを応援し始めたのは、本格的にプロチームとして始動した2000年。東京で料理の修業を終え、水戸市に戻った頃で、「地元にプロクラブができてうれしかった」。今では年間パスポートを購入し、営業の合間を縫って試合に足を運ぶ。
もともと大のサッカー好きで、チームの入団テストを受けたこともあった。サッカーに関わり続けたいと店で観戦会を実施し、地元ラジオのサッカー番組出演を続けるうち、「いつの間にか関係者やサポーターでにぎわう店になっていた」。
チームを離れた選手が家族を連れてきたり、出産の報告に来たりすることもしばしば。選手などと喜びや悔しさを分かち合ってきた。
こうして25年以上、応援を続けてきたが、J1昇格はかなわなかった。それが今、目の前に迫る。「期待と不安が入り交じっている。初めての気持ち」と心境を明かす。
「水戸の街が気になり、他県の人が足を運ぶようになる。街中で敵、味方関係なく酒を酌み交わしたり、サッカー話で盛り上がったりする」。街のにぎわいにつながることも期待し、J1行きの夢を見続けてきた。
23日の敵地・長崎戦は、水戸市役所で行われるパブリックビューイング(PV)でゲスト解説を務める。「現地に駆け付けるサポーターと同じ気持ちで応援したい」。昇格決定の瞬間を信じ、選手に寄り添う。












