《広角レンズ》24年度、茨城県内小中校 外国籍就学不明、最多316人 把握や支援求める声
義務教育段階の年齢で国公私立の小中学校や外国人学校に通っていない不就学の外国籍の子どもが茨城県内で減る一方、連絡が取れず就学状況を確認できない子どもが増えている。文部科学省の2024年度調査によると、外国籍の不就学は25人で19年度の調査開始以来最少となったが、就学不明な子が316人で最多となった。外国籍の子どもに就学義務はないものの、子どもの学習権を保障するため、積極的な状況把握や教育支援などを求める声が出ている。
調査結果の推移を見ると、県内の不就学は21年度の109人をピークに減少傾向にあり、24年度に前年度から32人減の25人。19年度からの調査で最少となった。一方、就学状況を確認できない子は19年度の106人から、コロナ禍の影響で調査未実施だった20年度を挟み、21年度に58人までいったん減少したものの、22年度に237人と増加。以来、23年度に247人、24年度には316人と増加傾向が続く。
■対応も「限界」
外国籍の子どもに就学義務はないものの、国際人権規約などを踏まえ、公立小中学校では日本人と同様に無償で受け入れている。このため多くの自治体では、住民登録手続きの際に就学に関する説明をしている。
県内では24年度に県教委が複数言語対応の就園・就学リーフレットを作成。将来的に日本に住み続ける場合、学校教育が必要になるとして、市町村と協力して転入手続きなどで訪れた外国人に配布している。
県内で就学状況が不明な子が増加する現状について、県国際交流協会の根本博文理事長は「特に県西、県南地域を中心に在留資格の一つである家族滞在により、子どもなどを母国から呼び寄せるケースが増えている」とし、今後も増加していく可能性を指摘する。
ただ就学状況の把握については、限界を唱える声も出ている。文科省の調査を担う県内自治体の担当者は、居所不明や宗教的な背景、既に帰国済みなど、各家庭でさまざまな事情があることを明かした上で「把握が難しい面もある」とこぼす。別の自治体担当者は在留外国人の増加に触れ、「母数が増えることで把握できない人数も一定数出てしまうのでは」と吐露する。
■体制「不十分」
一方、外国人の生活を支える団体からは、子どもの教育支援を求める声が根強い。多文化共生に取り組む県内の団体代表は、外国籍の子どもを受け入れる学校の体制が十分ではないとの認識を示した上で、「行政が積極的に就学状況などを把握し、十分な受け入れ体制も整備してほしい」としている。
また水戸市で外国人に日本語支援などを行う団体「オルビス」の山田野絵さんは、母国で中学などを卒業後に来日し、日本語がほとんど話せない人たちに対する支援を訴える。言葉の壁などから社会とつながることができず孤立してしまうとして、「このような人たちの存在も知ってほしい」と話している。












