時間外勤務 半分に 授業こま数5時間 週3日以上 教員に余裕、先駆的取り組み 守谷市立小中校 導入6年 茨城
子どもと教員の負担軽減を目指し、茨城県守谷市教育委員会が市立全小中学校の授業時数(こま数)を「週3日以上5時間」とする制度を導入してから、6年以上が経過した。小学校高学年から中学校までは6時間が週4日、5時間が週1日となるのが一般的。導入で時間外勤務はほぼ半減し、生まれた空き時間には働き方改革の会議を行うなど学校独自の有効活用も見られる。次期学習指導要領では教員の時間的余裕が論点にもなる中、先駆的な取り組みとも言えそうだ。
「罪悪感なく取れた」「まだ心の隅に学校のことがあり、心配だった」
9月下旬の放課後の空き時間、市立松ケ丘小の教員が2カ月に1回有給休暇を取得する同校独自の働き方改革について議論した。
同校は本年度、授業時数5時間の日に開催する「ウェルビーイング(幸福・健康)」委員会を設置。毎月、各学年の教員から委員を輪番で1人出し、放課後の有効な使い方や業務改善、研修などを話し合う。
委員会を見守った深澤陽子校長は「心身にゆとりがあり、笑顔で教壇に立つことが子どもたちのウェルビーイングにもなるはず」と語った。
放課後の空き時間の活用方法は、各校で独自性が見られる。
■夏休み短縮
文部科学省は学年ごとに年間の標準授業時数を定め、小学4年~中学3年は1015こま(35週以上)となっている。35週で割ると1週当たり29こまが一般的で、週5日授業がある場合、うち4日が6時間、1日が5時間となる。
市教委は2019年に市内全13校で、週27こまの「週3日以上5時間制」を導入した。働き過ぎや小学校の授業数増加から、教員と子どもの負担軽減を狙った。週当たり2こまの不足分は、創立記念日や県民の日を登校日にしたり、夏休みを5日間短縮したりして確保した。
この取り組みを市教委は「守谷型カリキュラム・マネジメント(カリマネ)」と呼ぶ。導入後、毎月の時間外勤務はほぼ半減し、効果が出ている。
■創造的余白
30年度からの次期学習指導要領は、教育の質向上に向けた時間的余裕「余白」の創出や、柔軟な教育課程編成が論点に上る。市の奈幡正教育長は「負担の平準化と、教育の質向上は矛盾しないことを示したい」と自信をのぞかせる。
学校の働き方改革のコンサルティング「先生の幸せ研究所」(大阪府)の澤田真由美代表取締役は「余白」の使い方について「教師自身が学ぶ、業務改善を話し合う、お互いを深く知るなどの『創造的余白』に充てたい」と理想を強調する。
教員自身が豊かな人生を送ることこそが何よりの教育であり、子どもたちに還元されるとし、「一律ではなく、各校の実情に応じた取り組みにしてほしい」と述べた。












