《ニュースを追って》クマ被害 防止に力 6月、茨城・大子で目撃 監視や駆除の体制強化
全国でクマの被害が相次いでいる中、6月に目撃情報があった茨城県大子町。袋田の滝の氷瀑(ひょうばく)など冬季の観光名所があり、町民や観光客らの安全確保に注力している。センサーカメラの追加設置や撃退スプレーの配備などを行ったほか、市街地に出没したクマを自治体判断で駆除する「緊急銃猟」の体制づくりにも着手する方針。目撃情報はそれ以降ないが、万が一に備えた動きが進む。
6月2日、大子町と同県常陸太田市の境付近で、通りがかった車のドライブレコーダーにクマが録画された。緊急対応で、周辺の道路わきや町内の男体山ハイキングコースなど5カ所に「クマ目撃情報あり」の看板が立てられた。これ以降に目撃がない状況を踏まえ、看板は8月に撤去した。
■カメラ追加
町は住民生活の安全・安心確保のため、クマを寄せ付けない対策は継続している。
6月から順に、福島県境に近く山林が多い生瀬地区と北部の黒沢・宮川地区、西部の依上・佐原地区で、住民に1人1個、クマよけ鈴を配った。クマよけホーンは生瀬地区と北部地区の1世帯に1個ずつ、建設業組合に18個を配布。撃退スプレーは全小中学校と全幼稚園・保育園、遠距離通学者のためのスクールバスに配置した。
9月以降は、山林などに新たに7台のセンサーカメラを設置した。町内にはもともと、イノシシやシカ被害の対策として、福島県との県境付近など5、6カ所に同カメラがあった。
動物の動きを検知し自動的に撮影・録画を行う仕組みで、監視を続けている。町鳥獣被害対策室では「(現時点で)クマらしきものは写っていない」と話す。
■マニュアル策定
さらに、市街地に出没したクマを自治体判断で駆除する「緊急銃猟」の体制づくりに着手する方針。12月3日開会の町議会定例会に補正予算案を提出する。
緊急銃猟のマニュアルは現在策定中で、予算には今回ヘルメットや盾の購入費、保険料など約33万円を盛り込む。今後は、定住自立圏を共にする栃木県大田原市で開かれるクマ対策講習会に担当者が出席し、情報を参考にしたい考え。
クマの総合的対応マニュアルの策定も計画しており、関連費用は来年度予算案に盛り込むか検討中だ。
目撃を受け、県も「危機感を持って対策を考えている」(環境政策課)と強調する。本年度、茨城県内での生息状況を確認し、注意喚起につなげようと、県内全域を対象とした「県ツキノワグマ管理計画」(2030年3月までの5年)を策定。生息状況のモニタリング実施など盛り込んだ。
■定着は不明
クマの生態に詳しい、東京農大の山崎晃司教授(64)によると、人里への出没は本州の多くの地域で04年ごろからあり、ここ数年で全国的に増えている。
生息は確認されていないとされる茨城県の状況については「隣接する福島県などから、時々クマが入ってきているのは確か」としつつ「大子町で目撃されたのはたまたま。定着しているかまでは分からない」と話す。











