初の後発地震注意情報 茨城県内、初動態勢を確認 備えの意識高まる
気象庁が9日未明に初めて発表した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を受け、茨城県内で対象となる太平洋沿岸9市町村では住民への注意情報の周知や災害警戒の組織立ち上げ、避難所備品の確認などに追われた。事業者も客の安全確保に取り組もうと、対策に着手。県民からは「非常食を準備したい」などの声があり、備えへの意識の高まりがみられた。
沿岸9市町村は、防災無線やホームページ、交流サイト(SNS)などを使い、注意情報の発表を周知。今後1週間にわたり、すぐ避難できる態勢での就寝や非常持ち出し品の常時携帯などを呼びかける。
日立市は同日夕から、市役所で防災関連部署による会議を開会。注意情報の内容や初動態勢、連絡状況を共有した。市防災対策課は「市民にも普段の防災意識を高めるよう、お知らせしていく」と強調した。高萩市は避難所となる施設に、非常食の配備ができているかを確かめた。
大洗町は9日午前8時半から災害対策連絡会議を開催。部長級の職員9人が出席し、地震と津波が発生した際の対応を確認した。また冬の避難所では、小中学校体育館に配置してあるジェットヒーターを活用するため、町職員らがヒーターの燃料や動作をチェックした。
鉾田市や鹿嶋市も関係部署が情報を収集し、迅速に対応する態勢を整えている。神栖市は生活環境部長をトップに関係部署の課長らで構成する災害警戒本部を立ち上げ、地震発生時の対応を確認した。
事業者などは、客らの安全確保も考え、対策を始めている。高萩市のカフェでは客席の前に本棚を置かず、被害が最小限になるよう工夫。上野可奈子店長は「今後の情報にも注意していきたい」と緊張感をにじませた。
日立市の海沿いにある宿泊施設「うのしまヴィラ」では緊急時の避難誘導のほか、井戸水や食材の準備もチェック。原田実能代表(66)は「小さなことでも油断せず、備えたい」と気を引き締めた。
大洗町漁協では、青森県東方沖地震の発生後から組合員がそれぞれ津波の情報収集に当たり、夜通し警戒したという。注意情報を踏まえ「引き続き(警戒を)続けたい」とした。
一方、鹿嶋市内で釣具店を経営する50代男性は「(注意情報の)影響はゼロではないと思う」とし、客足が遠のくことを心配した。
住民らも、地震への警戒を強めている。高萩市高戸地区の自主防災会長、黒沢真見さん(64)は年1回の津波想定の避難訓練を地域で実施しているといい、「いざという時は成果を生かしたい」と語った。
鉾田市、事務員、植野孝行さん(81)は、妻が歩けないため「どうやって避難すればよいか」と不安をのぞかせつつ、「非常食の準備を始めたい」と備えを意識した。












