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世界認定に誇り 御船祭、無形遺産登録 北茨城市、祝福ムード

「常陸大津の御船祭」(北茨城市)のユネスコ無形文化遺産決定を喜ぶ保存会の山形義勝会長(左)と名誉会長の豊田稔市長=同市関南町仁井田
「常陸大津の御船祭」(北茨城市)のユネスコ無形文化遺産決定を喜ぶ保存会の山形義勝会長(左)と名誉会長の豊田稔市長=同市関南町仁井田


茨城県北茨城市大津町に約300年前から伝わり、5年に1度開催される「常陸大津の御船(おふね)祭」が11日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録が正式決定した。漁船が陸上渡御し、豊漁や海上安全を祈願する全国でも類を見ない漁師町ならではの祭事。吉報を受け、保存会や関係者からは「世界に認められた」「大きな誇り」などと喜びの声が上がった。

同日午後3時ごろ、文化庁から市に登録決定のメールが届いた。これを受け市職員らが、祭事船を保管する同市関南町の市漁業歴史資料館「よう・そろー」や市役所など市内9カ所に懸垂幕や横断幕を設置した。

幕は黒の下地に赤色や金色で「祝 ユネスコ無形文化遺産登録 常陸大津の御船祭」と書かれた。写真に収める市民や「すごい」と喜ぶ市民の姿も見られ、祝福ムードに包まれた。

午後4時からは、同祭を継承する保存会の山形義勝会長(77)と名誉会長の豊田稔市長(81)が、同資料館でそろって記者会見した。

山形会長は「大きな勲章。うれしい」と喜びをかみしめた。その上で「大津地区の海上安全と大漁を願い、保存会そろって行動していきたい。若者の参加者も相当増えるだろう」と、決意と継承への期待感を示した。豊田市長は「大津の人たちのたゆまぬ努力の結果」と強調。「ここが出発点。世界に名が届く。外国の方が来るので、勉強しておもてなしを用意したい」と意気込みを語った。

この日、他の関係者からも喜びの声が聞かれた。祭事船を建造したオクムラボート販売(兵庫県姫路市)の奥村雅晴社長(72)は「陸の上を走る船を造ったのは初めて。強度を保つのに苦労した」と回顧。正式決定について「一生懸命造ったので格別にうれしい。携われたことが誇り」と声を弾ませた。

春の例大祭として執り行う佐波波地祇(さわわちぎ)神社(北茨城市大津町)の伊藤禎朗宮司(55)は「まちに一体感や絆が生まれる」と同祭の意義を強調。「世界に認められ、大変めでたい。皆さんあっての登録」と感謝を口にした。

★常陸大津の御船祭

佐波波地祇神社(北茨城市大津町)の春の例大祭。少なくとも江戸時代中期には始まっていたとされる。開催は5年に1度。神輿(みこし)のほか神職やお囃子(はやし)方、御船歌を唄う水主(かこ)ら約50人を乗せた全長約15メートル、重さ約7.5トンの祭事船を500人ほどの人力で引き回す。船底に車輪はなく「ソロバン」と呼ばれる木枠を路上に敷き、船体を左右に揺らしながら港町を滑走させる。



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