御船祭 ユネスコ無形遺産 北茨城、屋台行事追加
インドの首都ニューデリーで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会は11日、無形文化遺産の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」に、常陸大津の御船(おふね)祭(茨城県北茨城市)を追加登録することを正式に決めた。御船祭は佐波波地祇(さわわちぎ)神社(同市)の春季例大祭。みこしを載せた木造船が地域を巡行し、豊漁や海上安全を祈願する。茨城県関係で無形文化遺産に登録されるのは4件目。「山・鉾・屋台行事」としては日立風流物に続き、2件目となる。
茨城県関係の無形文化遺産はこれまで、2009年に地域社会の安泰や災厄防除を願う祭礼行事「日立風流物」、10年に伝統的な技法を継承する「結城紬(つむぎ)」、20年に木造建造物を受け継ぐための伝統技術として「茅(かや)採取」が登録されており、今回の常陸大津の御船祭で4件目となる。
県教委文化課の担当者は「県を代表する祭りの一つであり、これまでの保存会や地域の人々の尽力が報われた」と述べた。
同日は日本政府が申請した計6件の追加が決定。祭りではほかに、村上祭の屋台行事(新潟)と放生津(ほうじょうづ)八幡宮祭の曳山(ひきやま)・築山(つきやま)行事(富山)、大津祭の曳山行事(滋賀)。無形文化遺産「和紙」には越前鳥(とり)の子紙(こし)(福井)、同「伝統建築工匠(こうしょう)の技」には畳作りの工程の一部である手織中継表(ておりなかつぎおもて)製作も決まった。
政府間委員会は決議で、それぞれの担い手が保護・伝承に向け熱心に取り組んでいるほか、多くの人が参加することにより、文化的アイデンティティーの強化にも貢献していると評価した。祭りについては「地域結束の要」と強調。原材料の植物を過度に採取しない和紙は「持続可能性を体現している」と称賛した。
屋台行事は京都祇園祭の山鉾行事(京都)など33件で構成されており、追加により37件となる。石州半紙(せきしゅうばんし)(島根)など3件だった和紙は4件に、工匠の技は17件から18件に増えた。












