茨城・取手市 AIカスハラ判断 自治体で全国初 言葉と感情分析
顧客などからの暴言や不当な要求などを指すカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が求められる中、茨城県取手市は人工知能(AI)が音声認識と感情分析をして、リアルタイムで相談者の不適切な言動を判断できるシステムの試験運用を始めた。閉鎖的な空間で応対する職員の心理的な安全を確保するのが狙いだ。システムを開発した東京都内企業によると、このような対策を実施する自治体は全国で初めて。
カスハラ対策は、6月に改正労働施策総合推進法が成立し、企業と自治体の義務となった。国は自治体に対して調査や相談体制整備、研修を含めたガイドラインを示している。
対策として取手市は11月、AIによる音声認識で不適切な言動を判断する窓口応対ソフトを試験導入した。個室での市民相談などの場面で、相談者にあらかじめ伝えて使用する。
このシステムは相談者と対応職員のやりとりがパソコンにリアルタイムで文字起こしされ、「ネットにさらす」「土下座しろ」など事前に登録したカスハラに該当する言葉がないかチェック。さらに声の大きさや抑揚などから感情も識別し「怒り」「喜び」などと表示する。
文字と感情を踏まえて不適切な言動と判断されれば、執務室でモニタリングしている管理職のパソコンに「攻撃的な言葉」と通知されるため、すぐに駆け付けられる。システムはオフラインで、記録が外部に流出する恐れはない。12月まで市民協働課で試行し、本格導入を目指す。
市によると、市民相談はプライバシー、個人情報保護のため個室で職員が1人で対応することがあり、閉鎖的空間で精神的負担が小さくない。これまでに、悪質な相談者が大声を出したり机をたたいたりしたケース、退出を促しても3時間ほど居座られたケースもあった。
市情報管理課は「相談を受ける職員の心理的安全性を確保したい」と強調。文字起こしされるため「業務効率化にもなる」と、ほかの利点にも期待を寄せる。











