水戸京成百貨店雇調金詐取 「指示していない」 元社長、改めて関与否定 水戸地裁公判 茨城
水戸京成百貨店(茨城県水戸市)を巡るコロナ禍での国の雇用調整助成金の詐取事件で、詐欺罪に問われた元社長の斎藤貢被告(68)=千葉県柏市=の第8回公判が15日、水戸地裁(家入美香裁判長)であり、被告人質問が始まった。斎藤被告は不正受給について「指示していない」と改めて関与を否定し、被告の指示で従業員の休業日数を水増ししたとする元総務部長=同罪で実刑確定=の証言は「うそだ」と述べた。
起訴状によると、斎藤被告は元部長らと共謀し、2020年8月から21年5月、従業員の休業日数を水増しした虚偽の申請書を労働局に提出し、雇調金計約6億7000万円をだまし取ったとされる。
検察側は、雇調金の申請前に被告が元部長に対し、LINE(ライン)で「勤怠の考えに誤りがあったとすれば修正するべきではないか」などと伝え、誤りを修正する建前で勤怠データの改ざんを指示したと主張している。
このやりとりに関し、弁護側の被告人質問で斎藤被告は「勤怠修正はデータの改ざんになる。それがどうなのかと伝えた」と述べ、注意を促す意味だったと説明。その上で、メッセージの内容は「(会社都合で)従業員を休ませる方法を修正してほしいという意図だった」とした。
弁護側は、生え抜き役員だった元部長による独断の犯行と主張している。親会社出身の被告は、生え抜き役員らが赤字に対してどう考えていたか問われると「捨てられては困るので、相当恐怖に感じていた」と子会社の風土を語った。
公判中、時折涙ながらに証言した斎藤被告は元部長に対し「自分だけでは罪を背負いきれない感情があったのかなと思う」と述べ、自身の現状は「不条理と感じている」と語った。被告人質問は16日も行われる。










