《連載:2025 茨城県内10大ニュース》(3) コメ価格高止まり
■消費者、生産者に影響
平均で5キロ4000円台-。店頭に並ぶコメの価格が高止まりし、現在も続く。消費者が頭を抱える一方で、主食用米の増産意欲が高まるなど生産体制に変化が見られ、コメ価格高騰は茨城県内に大きな影響をもたらした。
2024年から始まった高騰。政府は価格を抑えようと、25年3月から政府備蓄米の放出を開始した。県内では4月から「イオンスタイル水戸内原」(水戸市)など一部の店舗で並ぶようになった。
政府備蓄米は全国で計約31万トン放出された。だが、運転手不足をはじめとする「2024年問題」などで、市場への流通はなかなか進まず、すぐに手に入れられない消費者も多かった。
価格抑制の追加策で、政府は5月から、小売業者や米穀店を対象に随意契約での売り渡しを始めた。県内では6月6日、ドラッグストア「コスモス薬品日立金沢店」に5キロ1980円で並び、即日完売した。開店と同時に来店した客は「(備蓄米が)あった!」と喜びの声を上げた。
ただ、ブランド米の価格は高止まりしたままで、消費者が手を伸ばしにくい状況は続く。
価格高騰は、家庭の食卓だけでなく、学校給食にも影響が及んだ。値上がり分を補正予算で対応したり、給食費の改定に乗り出したりする自治体もあった。給食無償化に取り組む自治体では、不足分を公費で負担するなどした。
県内26市町村に県産米を供給している「県学校給食会」(水戸市)では、24年産は1キロ当たり約541円。25年産は同約728円と、記録が残る1977年以降で過去最高の価格を記録した。
一方、高騰はコメの生産体制にも変化をもたらした。農水省のまとめによると、県内の主食用米の作付面積は24年産の5万9900ヘクタールに対し、25年産は6万6700ヘクタールと1割超増。生産者の主食用米の増産意欲が高まった。
その半面、飼料用米などの新規需要米や加工用米は減少。酒造好適米(酒米)から主食用米へ転作の動きも見られた。県は県産酒米の生産を振興しようと、9月補正予算で農業者への支援策を打ち出した。
JA県中央会の八木岡努会長は11月の記者懇談会で、コメ価格について「安定生産・供給が大切。ブランド米が5キロ3500円相当で続くといい」と強調。消費者も生産者も納得いく価格に落ち着くかどうか、今後も注目される。










