日立市役所窓口 音声文字化サービス開始 耳の不自由な人に利便 茨城
耳が不自由な人の利便性向上につなげようと、茨城県日立市は市役所窓口で、音声認識技術を使い会話の内容を文字表示する取り組みを始めた。福祉担当課だけでなく出張所を含む15カ所に機器を設置し、12月から運用。従来は大きな声で職員が説明したり筆談したりすることが多かったが、人工知能(AI)を活用し、文字を読めるようにする。同様の対応を全庁的に行うのは県内市町村で初という。
「本日はどのようなご用件ですか」「マイナンバーの申請方法を説明します」
市役所の窓口で、耳が不自由な来庁者に対し職員が口頭で説明すると、文字化された内容がモニターに映し出された。来庁者は画面を見て、必要な手続きをすることができる。
この音声認識技術は、都内の事業者がサービス提供するアプリ「AmiVoice(アミボイス)」を使う。会話や説明をAIが自動で認識し、正しい文章にして画面に速やかに表示する。機器は市販のモニターとパソコン、集音マイクを組み合わせる。
設置場所は福祉関係課や市民、税金、国民健康保険、市民相談室といった生活に必要な部署。商工振興や生涯学習といった部署のほか、本庁舎以外ではJR日立駅前の商業施設「ヒタチエ」にある市の駅前出張所も含む。台数は計18台。国の補助金を活用した。
窓口ではこれまで、聴覚障害者や高齢者ら耳の不自由な人が訪れた際、職員が手話や筆談、特殊イヤホンなどで対応。しかし、コロナ禍以降、マスクや透明仕切り板の設置により会話が聞き取りにくい状況も生じている。今回の新サービスにより、時間短縮にもつなげる狙いだ。
市聴覚障害者協会の軽部剛会長は、窓口での音声文字化サービスについて「モニターにリアルタイムで文字表示されるため、分かりやすくて良い」と評価。一方で、長い文章を目で追うと分かりづらいため、簡単な言葉で話したり、文字の大きさを調整したりする改善も要望した。
市デジタル推進課の担当者は「改善できるところは行い、サービス拡充に努めたい」と話した。











