水戸京成百貨店雇調金詐取 資料に不正可能性認識 申請前に元社長 水戸地裁公判 茨城
水戸京成百貨店を巡るコロナ禍での国の雇用調整助成金の詐取事件で、詐欺罪に問われた元社長の斎藤貢被告(68)=千葉県柏市=の第9回公判が16日、水戸地裁(家入美香裁判長)であった。15日に続き被告人質問が行われ、被告は雇調金の申請前、元総務部長=同罪で実刑確定=から渡されたシミュレーション資料に、不正受給につながる方法が含まれていることを認識していたと述べた。
この日は主に検察側が質問。コロナ禍で客が急減した2020年度の収支見通しについて、当時「黒字は無理だと思っていた」とし、同年4月ごろ、休業手当の一部を国が補塡(ほてん)する雇調金の受給を元部長から提案され「『もらえるものはもらってよ』と伝えた」と述べた。
被告は翌5月、雇調金の受給額に関し、勤務実態通りに申請した場合と、従業員の休業日数など勤怠データの改ざんを前提とした複数のシミュレーション資料を元部長から受け取った。検察側から「日数の調整は何を意味するか」と問われ、被告は「不正受給につながる」と答えた一方、被告から指示されたと証言している元部長と「不正の話をした記憶はない」と重ねて関与を否定した。
検察側によると、この資料を見た上で被告は元部長に対し、LINE(ライン)で「君らの資料ならば賃金遅らせるしかない」などと送信。勤務実態通りの申請を求めた元部長らの主張は、受け入れられなかったとしている。
これに関し被告は、元部長に送ったメッセージの意図などについて「覚えていない」と繰り返した。検察側から「覚えていないのに不正の指示ではないとなぜ言えるのか」と問われると、「(証拠)資料を見比べながら、今の時点での推測で不正の指示ではない」と答えた。
次回は来年1月30日で、論告求刑公判が開かれる。










