石岡市交流施設「ゆりの郷」 JAやさとに無償譲渡 26年4月 茨城
茨城県石岡市が公募していた市営のふれあい交流施設「やさと温泉 ゆりの郷」(同市小幡)の無償譲渡先が18日、やさと農業協同組合(JAやさと、神生賢一組合長)に決定した。市議会定例会は同日、本会議を開き、同施設の無償譲渡と駐車場を含む土地の無償貸し付けに関する関連3議案を全会一致で可決した。譲渡期日は来年4月1日。
2000年開業の同施設は、筑波山麓の景観を楽しめる温泉を柱とした観光拠点で年間約13万人が利用している。市は来年3月末に指定管理期間満了を迎えるのを機に、民営化による施設の魅力向上と財政負担軽減を目指し、公募型プロポーザルを実施していた。
審査の結果、現在指定管理者を務めているJAやさとが選定された。施設の運営を長年担ってきた実績、安定した財務基盤、地元農産物を積極的に活用した食事提供などが評価された。
今回の決定で、市は建物(延べ床約1748平方メートル)や設備、温泉に関する権利を事業者に無償譲渡する。敷地約1万5815平方メートルも、来場者用駐車場を含めて無償で貸し出す。契約では、譲渡後10年間は温泉施設としての継続運営が事業者に義務付けられ、期間内の第三者への譲渡や転貸、用途変更は原則禁止される。
JAやさとの担当者によると、来年6月ごろから露天風呂の床面積拡張や経年劣化した屋根の修繕を行う計画がある。施設名やロゴの変更はせず、指定管理者として培ったノウハウとブランドを生かした運営を継続するとしている。
無償譲渡の決定を受け、JAやさとの神生組合長は「目玉として露天風呂を拡張し、来場者が筑波山を望みながらくつろげる空間をつくる」とし、「観光バスの食事受け入れや果樹園やフラワーパークと連携した地域内の周遊のかたちづくり、地元の有機野菜を生かした食事の提供など、地域全体の活性化につなげたい」と意欲を示した。










