障害者×ラグビーで社会貢献 物販・企画立案、観覧席を用意 日立の就労支援施設 社会人チームと連携 茨城
茨城県日立市の障害者就労支援事業所が、同市を拠点にする社会人ラグビーチームとの連携を強めている。事業所側は試合の来場者向けの物販や企画立案で協力し、チーム側は障害者の特別席を用意して観戦を支援する。事業所側は「障害者が社会貢献をしていくモデルにしたい」と、好事例になるよう期待。互いの特徴を生かして、障害者の社会参加や地域スポーツを盛り上げる。
先月8、22両日に市内で開かれたラグビーチーム「日立サンネクサス茨城」のホーム戦。同市諏訪町の障害者就労支援事業所「諏訪ひまわり」が製造している焙煎(ばいせん)コーヒーや、包装に選手49人分の似顔絵を描いたドリップコーヒーが会場の販売コーナーに並んだ。
施設側の提案で、チームカラーのオレンジ色の風船や果物を配布する企画も行われ、来場客500人に提供された。競技場の観客席最上部には組み立て式サウナが設置され、観客が試合観戦とともに楽しんだ。
同施設は昨シーズンから試合への協賛を開始。チームの活躍やファン層の拡大に向け取り組んでいる。障害者施設がアイデアを出して、社会人スポーツチームを全面的に応援するのは全国でも珍しいという。
またチーム側は、両日の試合で障害者用の特別席をそれぞれ30席用意。競技場近くで障害者対象のイベントを開き、参加者に観戦を促した。
連携の背景には、就労支援施設は障害者にとって工賃を得る作業所の役割を担う一方、社会参加が少ない点がある。同施設は活躍の場を広げようと、今春、市内にカフェを開設して「障害者バリスタ」を養成するなど工夫しており、チームとの連携もその一つだ。
同施設の森篤史取締役は、前例がないことでも「まずは挑戦したかった」と強調。「障害者が社会貢献をするモデルにし、スポーツとの連携による新たな就労機会の拡大や事業受託にも結び付けたい」と先を見据えた。
チーム関係者は「障害のある人たちとスクラムを組み、新しいファンを獲得して、街の元気につなげていければ」と期待を込めた。











