暇修館活用へ団体発足 日立の地区住民 展示資料充実や見学会 茨城
水戸藩時代の学校(郷校)を茨城県内で唯一復元保存している日立市大久保町の市指定文化財「暇修館(かしゅうかん)」について、地区住民が保全や活用を図るための団体を発足させた。建物は文武修練の場として広く庶民にも開放。地元の文化の象徴として守られてきたが、展示資料の充実や見学会を軸に活用方法を探る。中世の城跡でもある歴史的価値を前面に押し出し、地域活性化につなげたい意向だ。
団体は「大久保の歴史と暇修館を考える会」。地区で活動してきた既存の3団体のメンバーが集まり、準備を進めてきた。10月に設立し、会長に岡部光雄さん(86)が就任。会員は16人。12月9日の総会で具体的な方針を話し合い、分科会を設けて取り組むことを決めた。
暇修館は、9代藩主徳川斉昭が築いた藩内15の郷校の一つとして1839(天保10)年に開校。中世の大窪城本丸跡地にある。学習者は初めは医者が主だったが、身分にかかわらず神官や村役人、一般庶民にも広がった。明治以降は廃校となり小学校や役場に使われた後、1973年に藩政時代の建物に復元され現在に至る。約20畳の講堂や広い玄関などが特徴だ。
大窪城跡は二の丸、三の丸に土塁や水堀跡、石碑や塚が残っている。近くには流鏑馬(やぶさめ)神事で知られる鹿嶋神社がある。
暇修館は市が所有管理する。地域では趣味の会や夏祭りイベントで使ってきたが、文化財のため利用に制限もあり、使う人は減少傾向という。会では今後、市や住民と協力し、駐車場の拡充や展示資料の充実、見学会や学習会開催といった企画運営を進める。見学者が来やすいように案内板を設けたり、出前講座や弓道体験を開いたりすることを見込むという。
いずれも副会長の根本一弘さん(78)、冨岡則夫さん(79)、海野定文さん(76)は「歴史的価値を考えて利用を図りたい。一つずつできることを探りながら保全と活用をやっていければ」と方向性を語った。











