【独自】水戸の本拠地、26年夏から「笠松」 J1基準収容確保 入場料収入アップへ 茨城
サッカーで来季J1に昇格する水戸ホーリーホックが来年8月開幕の新シーズンに合わせ、本拠地を水戸信用金庫スタジアム(笠松運動公園陸上競技場、茨城県那珂市向山)として申請する方針であることが20日、複数の関係者への取材で分かった。初のJ1に挑む水戸にとって、J1基準の収容人数確保と入場料収入の獲得が最大の狙い。クラブは年内にも正式発表する。
現行のケーズデンキスタジアム水戸(同県水戸市小吹町)は収容約1万1000人とJ1基準の「1万5000人以上」を満たしていない。来年2月に開幕する特別シーズン「J1百年構想リーグ」は同スタジアムを本拠地としてJ1ライセンスが交付されているものの、クラブが将来的に新スタジアムを整備するという例外規定が適用され、受理に至った。
一方、水戸信用金庫スタジアムはおよそ倍となる約2万2000人を収容できる。今季のJ1平均入場者数は過去最高の2万1000人超で、本拠地移転により入場料収入や物販収入の大幅な増加が見込まれる。あるクラブ幹部は「クラブがJ1に残り続けるには売上げの獲得が必要という判断に至った」と話した。
水戸信用金庫スタジアムは第1種陸上競技場で、水戸は2009年まで本拠地として使用。過去2度の茨城国体ではメイン会場として運用された。19年の同国体開幕に向けた改修工事で屋根の設置や照明灯の発光ダイオード(LED)化などが施され、J1基準を満たす会場となっていた。しかし、継続的に本拠地として使用するには、ドーピングコントロール室の確保や隣接するロッカールーム、芝生の常緑化や水はけ対策などさらなる改修も必要だ。また、最寄りのJR東海駅から南西に約4キロの立地も、アクセス面での課題となる。
クラブは19年に沼田邦郎前社長が民設民営の新スタジアム構想を立ち上げ、24年度内の完成を目指してきた。だが、新型コロナウイルスの影響で経営危機に直面し、構想は停滞していた。来季の本拠地移転はあくまで当面の措置とし、引き続き新スタジアムの整備も視野に入れている。既にケーズデンキスタジアム水戸を管理する水戸市、水戸信用金庫スタジアムを管理する県との協議は終えているといい、26-27年シーズンにおける本拠地の申請期限は2月に迫っている。
今季はJ1鹿島が9年ぶりの王座奪還を果たし、J2水戸が初のJ1昇格を決める歴史的な1年となった。クラブ関係者は「大井川知事が『茨城サッカー王国』と発言したことで、明らかな(本拠地移転の)機運の高まりを感じた」と強調する。J1定着に向け、「笠松」から再出発することになる。











