単身高齢者支援トラブル急増 身元保証や死後手続き 健全性向上へ業界団体設立 茨城からも参加
身寄りのない高齢者の増加で、身元保証や死後手続きなどのサービスを提供する事業者や法人の消費者トラブルが相次いでいる。健全性を高めようと、全国初の業界団体ができた。入会のためには国の指針を順守するなど外部審査を受ける必要があり、安心して利用できる業界を目指す。
11月下旬、東京都内の大会議室。満席となる約260人が詰めかけた。「高齢者等終身サポート事業」を行う事業者による初の全国組織「全国高齢者等終身サポート事業者協会」の設立集会だ。オンラインでも約300人が参加し、関心の高さを示した。
終身サポート事業のサービスは、頼れる家族や親族がいない高齢者らを対象に、入院時の身元保証から本人が死亡した後の葬儀や納骨までを担う。
高齢や未婚、核家族、少子、家族観など社会情勢の変化により、いわゆる「おひとりさま」が増えている。国の推計で65歳以上の単身高齢者は2050年には、現在の1.5倍の約1084万世帯となる。家族代わりとなる同サービスの需要が高まっている。
設立集会では、登壇者らが口々に「健全」「信頼」を強調した。協会の目的に「利用者の安心と理解、サービスの質向上」を掲げた。背景には、新規参入の増加で相次ぐ消費者トラブルがある。監督官庁や関連法はなく、業界の不透明さが指摘されている。
国民生活センターによると、サービスを巡る利用者からの相談は増加傾向にあり、20年度の114件から24年度には420件に上った。追加料金や解約時の返金などを巡るトラブルが目立つ。
このため同協会は入会のために厳しい審査基準を設けた。国の指針順守や財務状況、寄付取り扱いなど12項目にわたり、外部審査を受ける必要がある。正会員になると、協会側が優良事業者として公表し、お墨付きを与える形だ。
茨城県内からは唯一「しんらいの会」(土浦市)が協会に入った。同事業所はトラブルを未然に防ぐため弁護士が監督して利用者との契約に立ち会ったり、3カ月に1度報告書を提出させたりする。契約金は預かり金として200万円だ。
同事業所の青木規幸理事長は「トラブルで嫌な思いをする人を減らしたい。サービスが利用できないと本人にとって非常に困る問題が起きる。利用へのハードルを下げるためには事業者の健全性が必要だ」と話している。
★高齢者等終身サポート事業
国はガイドラインで、①身元保証(入院や施設入所時の保証人など)②死後事務(死亡届提出や葬儀手配など)③日常生活支援(通院の付き添いなど)-の3サービスを提供すると規定している。総務省が2023年に初めて実態調査した結果、事業者は全国で約400あった。うち調査に応じた約200の5割超が事業開始5年以内だった。従業員10人未満の小規模事業者が約8割を占める。監督官庁がない中、静岡県静岡市では独自の認証制度を設けている。











