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全員出場ルール化 広がる独自の高校野球リーグ戦 選手育成に重点 一発勝負と一線画す 茨城

走塁コーチを務める伊奈高・藤田大輔監督(左端)=2025年11月23日、伊奈高グラウンド
走塁コーチを務める伊奈高・藤田大輔監督(左端)=2025年11月23日、伊奈高グラウンド


高校野球で茨城県南地域の学校を中心に、選手を主役に据えた独自のリーグ戦が5年目を迎えた。監督は指揮を極力執らず、より多くの選手に出場機会を与えるなどをルール化。「負けたら終わり」のトーナメント戦が常識の高校野球では珍しい取り組みだ。参加校は徐々に広まり、シーズンオフ前の恒例になっている。

■個人表彰も

「ナイスコーチャー!」。好判断をした三塁コーチに選手たちが沸いた。

昨年11月下旬、県立伊奈高(同県つくばみらい市)であった試合で、茨城高(同県水戸市)の攻撃のシーンだ。何げない声かけのようだがベンチに監督はいない。ヘルメットをかぶる岡部将也監督(35)が走塁コーチを務めていた。選手らが自分たちの指導者を褒めていたのだ。リーグ戦「PC(Players Centered)リーグ」の象徴的シーンと言える。

この日は両校のほか、土浦二高の計3校が各2試合をこなした。リーグは対外試合が禁止になる前の11月、原則総当たりする。トーナメント戦が当たり前の高校野球では珍しい取り組みだ。勝利至上主義に陥りかねない一発勝負とは一線を画し、選手育成に重きを置くことがリーグ戦の狙い。ただ、真剣勝負に変わりはなく、勝率で順位を決めて個人表彰も設ける。

■技術共有

PCリーグは2021年に始まった。「選手が主役」をスローガンに選手育成や挑戦、知識と技術の共有を目的にした。これらの理念に基づき、独特のルールがある。

全選手ができるだけ複数回の打席と守備に就く▽攻撃時に指導者は三塁走塁コーチに入り選手目線で試合に関わる▽指導者はなるべくサインを出さない▽おおむね4点差以上のリード時は盗塁禁止-などが並ぶ。

立ち上げに携わった伊奈高の藤田大輔監督(42)は「負けても勝っても次の試合があるリーグ戦では反省を生かせる」と意義を強調する。土浦二高の1年生、埜口晴選手(16)は盗塁に失敗したが「いつもより果敢に行けた。次は成功させたい」と前を向いた。

全員出場を明文化したことで藤田監督は「みんな出るのが当たり前の雰囲気になる」とも話す。外野手でフル出場した伊奈高の1年生、橋本歩空選手(16)は中学はサッカー部で高校から野球を始めた。この日は鋭いヒットも打ち「野球が楽しい。成長も実感できる」と充実した様子だった。

■模索続く

試合外でも特色がある。選手と指導者は積極的に交流し、お互いに高め合う存在だ。試合中には監督同士でプレーを振り返ったり、選手を評価したりしていた。茨城高は来春のセンバツ大会の21世紀枠県推薦校に選出された。試合案内の掲示板には「おめでとう」とメッセージが書き込まれていた。他校の選手からは同校の躍進に「刺激になる」「一緒に試合ができてうれしい」との声も聞かれた。茨城高の2年生、粕谷隆弘主将(16)は「試合後に他校の選手から『頑張って』と声をかけられた。普段はライバル関係だが、21世紀枠に選ばれて(参加校から)応援してくれ、尊重してくれるとも感じた」。甲子園を目指す大会とは異なる雰囲気を味わった。

当初は県内3校で始まったリーグには県外からも参加の輪が広がる。昨年は県南地域や埼玉県の高校を含め計7校が出場した。ルールの見直しを重ね、リーグの掲げる「次世代の高校野球」への模索は続く。



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