核融合実験装置を公開 量研機構 コイル2体設置完了 茨城・那珂
量子科学技術研究開発機構(量研機構)は23日、核融合実験装置「JT-60SA」にプラズマを安定・維持させる巨大なコイル2体の製作、設置が完了したと発表し、茨城県那珂市向山の量研機構那珂フュージョン科学技術研究所で報道陣に公開した。同コイルの設置は現在行っている各種装置増強作業の中でも重要な過程で、2026年の運転再開を目標に、プラズマの制御技術の確立や原型炉への活用を目指す。
同コイルはプラズマの位置や形状を精密に制御でき、銅製で直径8メートル。プラズマが生成されるドーナツ状の真空容器(内径10メートル)内に上下2体が輪のように設置され、位置や形状の精度を誤差2ミリ以内にした。
JT-60SAは23年10月、核融合に必要なプラズマの生成に初めて成功。約10秒ほど維持した。24年1月から加熱装置増強などの工事を進めていた。
量研機構は26年に工事を終える予定で、同年の運転再開を目指す。今後はプラズマの温度や密度などが定常化するといわれる「連続100秒」の維持を目指すという。
量研機構の伊藤久義理事は「今回のコイルは、プラズマの安定性を確保する基幹的な技術」と強調。同研究所の花田磨砂也所長はJT-60SAでの実験結果は原型炉に反映できるとし、「世界の原型炉開発に向けたプラズマ研究開発を先導できる。核融合発電の早期実現に向けて頑張りたい」と意気込みを示した。











