茨城県は25日、同県城里町の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザの感染が疑われる事例について、遺伝子検査の結果、陽性だったと発表した。同養鶏場で飼育されている採卵鶏約97万羽の殺処分を始めた。近隣の養鶏場には鶏の移動や卵の搬出を制限する。今季、鳥インフルの確認は県内初、全国で10例目。今季の殺処分数としては最多となる。

同養鶏場は、県北家畜保健衛生所(同県水戸市)に鳥インフルの疑いがある状況を通報した24日から卵の出荷を自粛している。他の養鶏場への鶏の移動はない。

県によると、同保健衛生所が遺伝子検査したところ、高病原性ウイルスの「H5亜型」と判明した。陽性確認を受け、県は25日午前8時から殺処分など防疫措置を始めた。県職員らが24時間体制で殺処分や埋却、消毒などを行う方針。1日当たり400～600人が作業に当たり、処分終了まで10日間を見込む。

県は国の指針に基づき、半径3キロ圏を「移動制限区域」とし、卵や鶏などの移動を制限。同3～10キロ圏を「搬出制限区域」に設定した。対象となるのは同町と水戸、那珂、笠間、常陸大宮の県内5市にある農場30戸。計81万4000羽を飼育している。

発生養鶏場に出入りする車は噴霧器で消毒する。このため、消毒地点を水戸市や笠間市など4カ所に設けた。環境省は同日、半径10キロ圏を「野鳥監視重点区域」に指定した。

鳥インフルに感染した鳥は高い確率で死ぬ。国内で鳥インフルが人に感染した例は報告されていない。

農林水産省のまとめによると、今季は10月に初めて北海道で確認されて以降、新潟や京都などで発生。城里で10例目となり、計約365万羽が殺処分の対象となっている。今季、確認されたウイルスは全て「H5亜型」という。

県畜産課は「別の農場で発生することがないよう十分に注意しながら速やかに防疫措置を行っていく」としている。

県によると、24日午前10時ごろ、養鶏場の管理者から「鳥がまとまって死んでいる」と通報があった。県北家畜保健衛生所が簡易検査した結果、検査した10羽全てで陽性だったため、遺伝子検査を行っていた。