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選定療養費 軽症搬送14%減 逼迫緩和 茨城県「一定の効果」 運用1年検証

救急車(資料写真)
救急車(資料写真)


不要不急の救急搬送患者から追加料金の「選定療養費」を徴収する取り組みについて、茨城県は25日、運用を始めた昨年12月から1年間の検証結果を発表した。対象23病院で徴収した割合は3.5%。県全体で「軽症等」を救急搬送した件数は前年同期に比べ14.3%減った。救急車の呼び控えで重症化した例はなく、救急医療の逼迫(ひっぱく)緩和や救急車の適正利用に「一定の効果があった」と結論付けた。

県保健医療部によると、昨年12月からの1年間で対象23病院に救急搬送された件数は8万2289件。うち選定療養費を徴収したのは2840件。徴収率を年代別で見ると18歳未満が5.6%、18歳以上が3.3%だった。徴収例として腹痛が最多の237件。目まい・ふらつき、風邪の症状、打撲と続いた。

県全体の救急搬送件数は前年同期比4.2%減の13万8705件。福島、栃木、群馬、埼玉、千葉の近隣5県が1.1~3.8%増えたのに対し、茨城県の減少が際立った。

県全体の救急搬送のうち「軽症等」は14.3%減の5万8050件で、入院を要する「中等症以上」は4.6%増の8万655件。救急車の到着後も搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は7963件で8.5%減った。

救急車を呼ぶか迷った際に助言が受けられる救急電話相談は14万479件で4.2%増。ただ15歳未満の相談件数は8.0%減った。

制度に関する県設置の相談窓口には162件の問い合わせがあった。このうち徴収されたことへの不満は30件あった。「救急電話相談で救急車を呼ぶよう助言されたが徴収された」との申し出で返金に至った例が7件あったという。

県は運用が進むとともに徴収率が減り、県全体や「軽症等」の救急搬送件数が前年同期比で減ったことから、「救急医療の適正利用に対する理解が進んだ」としている。「軽症等」の搬送が減ることで、救急医療現場が緊急性の高い患者に集中できる環境が整ってきたとして、「制度の目的を一定程度達成できている」と評価した。

1年間の検証結果は、県医師会や対象病院、関係者で構成する検証会議の評価を受けてまとめた。

県保健医療部の丸山慧部長は「より重症な患者に救急医療が受けられる体制を整えるために始めた」とした上で、検証結果を踏まえ「(取り組みに)一定の効果があった」と総括した。

■大井川知事 「適正利用図る」

県が救急搬送における「選定療養費」の運用開始から1年間の検証結果を公表したことを受け、大井川和彦知事は25日、談話を発表した。県医師会や対象病院の医師を中心とした検証会議の評価を踏まえ、「救急医療の逼迫緩和や救急車の適正利用に一定の効果があった」との認識を示し、「今後も県救急電話相談の活用や取り組みの周知啓発などにより、救急医療の適正利用を図っていく」とした。



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