【独自】霞ケ浦導水 石岡トンネル、26年1月貫通 那珂川接続 27年度供用目指す 茨城
茨城県内の那珂川と霞ケ浦、利根川を地下トンネルで結ぶ霞ケ浦導水事業で、石岡トンネル(延長24.7キロ)の最後の2工区にシールドマシン(大型掘削機)が到達したことが26日、分かった。来年1月にも貫通し、那珂川と霞ケ浦がトンネルでつながる。設備として使え、事実上の水の行き来が可能となる「完成」は2026年度の予定。国土交通省は「27年度の供用を目指す」との意向を明らかにした。
石岡トンネルは全6工区で、このうち4工区が既に完成。残る掘削区間は上飯沼立坑(同県茨城町)-堅倉立坑(同県小美玉市)の第3工区(延長4.8キロ)と、美野里立坑(同市)-玉里立坑(同県石岡市)の第5工区(同4.4キロ)だった。同省霞ケ浦導水工事事務所によると、25日に掘削機が目的地に到達した。
石岡トンネルは3本のトンネルで構成する那珂導水路のうちの1本で、1997年2月に着工。那珂川流域の漁協が建設差し止めを求めた訴訟や、民主党政権下の事業凍結などの影響による停止期間を経て、2023年1月に工事を再開。25年までに3工区が完成し、今月には小美玉市内の第4工区が完成していた。
今後は掘削機の撤去や地下水の止水作業、管理用設備の設置を進める。石岡トンネルと霞ケ浦を接続する高浜機場(石岡市三村)でポンプを設置し、水中の汚れや濁り、外来生物の卵や種子を除去するろ過施設などを整備して、26年度の完成を目指す。
事業は霞ケ浦と利根川、那珂川を総延長45.6キロの地下トンネルで結び、水を相互に送る。霞ケ浦や千波湖の水質浄化のほか、那珂川や利根川の渇水対策や、茨城県と千葉県、東京都への水道・工業用水供給を目指す。全事業は30年度の完成を予定する。
現時点で那珂川と桜川を結ぶ那珂導水路の水戸トンネル(延長6.8キロ)と、霞ケ浦と利根川をつなぐ利根導水路(同2.6キロ)が完成。石岡トンネルが完成すれば、三つの河川と湖の間で水の行き来ができるようになる。
一方、那珂導水路の土浦トンネル(同11.6キロ)については「石岡トンネルの供用後に水質状況をモニタリングした結果を踏まえて整備を判断する」(同事務所)としている。
総事業費は2625億円。8月には物価高による資材高騰などを理由に、これまでの2395億円から230億円を増額。計画当初の1600億円から1000億円以上膨らんだ。
同事務所の高野佳明副所長は「霞ケ浦導水事業は関東の水域を結ぶ最後のワンピース。石岡トンネルの掘削機の到達は大きな前進」と意義を強調。完成に向け「安定して導水の効果を発揮させるため、確実に事業を進めていく」と話した。











