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被害者に寄り添い30年 「いばらき支援センター」 相談年1448件、10年で3倍

いばらき被害者支援センターで配布している資料の一部=水戸市柵町
いばらき被害者支援センターで配布している資料の一部=水戸市柵町


交通事故や殺人事件、性犯罪などの被害者を支援する「いばらき被害者支援センター」(川上俊也理事長)は、今年で設立30周年を迎えた。相談件数は年間1400件を超え、10年前の3倍近くまで増えた。性被害に遭った人のワンストップ支援など、対応を充実させてきたことなどが背景にある。支援員の負担は大きくなるが、今後も相談の質と人員の確保を両立し、被害者に寄り添い続ける。

同センターの前身は1995年7月に設立された「水戸被害者援助センター」で、当初から電話相談や相談員の養成を行っている。98年に法廷への付き添い支援、2000年に面接相談を始め、01年11月の法人化に合わせて現在の名称に変更した。

15年には、性暴力に遭った人がワンストップで支援を受けられる「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」を開設。茨城県産婦人科医会、県医師会、県警、県を含む5組織で連携し、支援に当たっている。

今年9月には裁判や法律に関する相談を引き受けるため、県弁護士会と連携し弁護士派遣協定を締結。より充実した支援を目指す。

同センターなどによると、24年の刑法犯認知件数は約2万1000件。10年前より3割ほど減少したが、同センターの相談対応は増加している。

電話や面接での相談、直接的支援を合わせた総相談件数は、22年に1041件と1000件を突破。24年は前年比127件増の1448件で、10年前(14年)の494件から2.9倍に増えた。

特に、ワンストップ対応の支援の認知度が高まり、性犯罪に関する相談が増えた。性被害に遭った相談者のうち、被害から相談までに数年以上の年月を要する人は約7割に上っていたが、ここ1~2年で5割に減り、被害から数カ月以内の相談が増えている。

森田ひとみ事務局長は、早期のケアや立件のため「自分の言葉で被害を説明するのは大変だが、なるべく早く相談してほしい」と呼びかける。

相談の増加、寄せられる相談内容の複雑化で、支援員の負担は大きくなっている。一方で、質を担保するため、人員を即拡充するのは難しい。

同センターでは原則2年間に「初級」「中級」「上級」の各講座を受講した上で、筆記・面接試験に合格した人を支援員として認定している。近年の初級の受講者数は毎年15人前後と横ばいで、支援員は少しずつ増えているという。

森田事務局長は「誰もが支援員になれるわけではない。被害者の意思を尊重できる人を認定していく」と、被害者に寄り添う姿勢を改めて強調した。



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