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外来カミキリ被害拡大 古河二中の桜並木伐採 前年度の2倍、10市町確認 茨城

桜並木の最後の一本を切る菊池隆史校長(右)=古河市鴻巣
桜並木の最後の一本を切る菊池隆史校長(右)=古河市鴻巣
クビアカツヤカミキリ
クビアカツヤカミキリ


茨城県古河市鴻巣の市立古河二中の正門から校舎に続く桜並木が今月、消えた。長年にわたって学校関係者に親しまれてきたが、サクラやモモの木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の影響で伐採を余儀なくされた。同カミキリが2019年に県内で初めて確認された市内では被害が相次ぐほか、これまでに見つかった県内自治体は10市町と前年度時点の2倍に上る。広がる脅威に、専門家は「被害が広がってしまうと対策が難しくなる」として、初動対応の重要性を訴えている。

「倒れると危ない。カミキリに幹や枝の中身が食われ、枝がぼろぼろ落ちてくる。最近は花が咲く木も限られる」

13日の昼過ぎ。同校で菊池隆史校長(59)が電動のこぎりでサクラの木を切った。

幹線道路に面した正門から校内に伸びる桜並木はこれが最後の一本。学校関係者の間で「桜通り」と呼ばれ、卒業アルバムなどを彩ってきた桜並木はこの日なくなった。

伐採に踏み切ったのは今秋、市内の別の学校で倒木被害が伝えられたためだ。すぐに市に相談し、十数本あった桜並木のうち5本を伐採してもらった。その後は休日を利用して、自ら切り進めた。

菊池校長は「卒業生や学校関係者には桜並木がなくなると寂しいという声もある。でも多くは市内の被害状況を知っているので理解してくれる」と話した。

同カミキリはサクラやハナモモといった樹木に寄生し、幼虫が内部を食い荒らす。繁殖力が強く、成虫の行動範囲も広い。被害を受けた木の内部はぼろぼろになり、空洞ができてしまうこともある。

古河市内では、ハナモモの名所として知られる同市鴻巣の古河公方公園をはじめ、JR古河駅周辺の遊歩道、同市駒羽根の公園のサクラなども深刻な被害を受ける。市役所古河庁舎にも成虫が卵を産みつけるのを防ぐ青色のネットを巻いたサクラの木が目立つ。

市によると、25年度の市内の外来カミキリ捕殺数は24年度の6.5倍の5074匹で、ほとんどがクビアカツヤカミキリだった。

被害は他自治体にも広がる。県によると、25年度、筑西、坂東、桜川、下妻、境の5市町で新たに同カミキリが見つかった。県内での確認された自治体は24年度時点で古河、つくば、結城、八千代、五霞の5市町あり、2倍の10市町に拡大した。

これに伴い、子どもたちの手を借りて駆除する「いばらきカミキリみっけ隊」による捕獲数も増加。クビアカツヤなどの外来カミキリは6~9月末までの間に7414匹捕まえ、前年同期比の1.96倍に上った。

森林総合研究所昆虫生態研究室の加賀谷悦子室長(52)は「被害の大きな木を放置するのは危険」と指摘。「樹皮の内側の『形成層』を食い荒らされると栄養分が行き渡らなくなり、重い枝が幹近くから落ちる恐れがある。枯れてしまえば倒木の危険も出てくる。伐採するなどして適宜除去するべき」と話す。

その上で、加賀谷さんは「県内各市町の状況は一様ではない。被害拡大を防ぐためにも早めの対処が必要」と呼びかけている。



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