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《連載:変わる水戸中心街 昭和から令和へ》(下) 再生への道 空き店舗活用に手応え 可能性求め、回帰の流れ

水戸中心街の空き店舗を活用して出店したパン店「good bakes」。まちなかの新たな一員となった=水戸市泉町
水戸中心街の空き店舗を活用して出店したパン店「good bakes」。まちなかの新たな一員となった=水戸市泉町


「都会では当たり前のことだが、地方では違う。大きな挑戦だった」。茨城県水戸市泉町のパン店「good bakes」のオーナー、大内若葉さん(36)は出店当時を振り返る。パン店は車社会の地方では郊外型が多く、業界ではまちなかへの出店はタブー視されてきたという。しかし、市民会館の完成やマンション建設ラッシュに沸く中心街に「勢いを感じた」こともあり決意した。

▼新規出店後押し

大内さんは、市の空き店舗対策補助制度を活用し、2023年に独立した。同制度は、増える中心市街地の空き店舗活用を促そうと04年度にスタート。補助金を支給し、新規出店を後押しする。

市商工課によると、空き店舗率は震災以降上昇し、16年に23.3%とピークを迎えた。補助率拡大など制度改正も奏功し、24年度に16.7%まで低下した。

近年の補助申請は10件前後で推移してきたが、市民会館が開館した23年度は過去最多の21件と倍増。同課は「まちなかへの可能性を求めて出店が増えたのではないか」と分析する。

「味、素材、人。自分なりのこだわりで勝負したい」。大内さんは笑みを浮かべつつ、強い意気込みを示す。

▼スポーツ融合

スポーツによる新たな街づくりの形も確立されつつある。

バスケットボールB1茨城ロボッツを運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメントは17年、水戸市南町に「まちなか・スポーツ・にぎわい広場(M-SPO)」を開設。「水戸のまちなかににぎわいを」を合言葉に、1993年のデパート撤退以来、活用が進まなかった空き地を生かし、ロボッツを核とした交流拠点を誕生させた。

「日常的なにぎわいづくり」に主眼を置き、ソフト、ハード両面で多彩な事業に着手。同社の川崎篤之社長(47)は「まちなかへの回帰が始まりつつある」と手応えを語る。

「大事なのは人づくり」と川崎社長。「次世代のまちづくりプレーヤー」輩出を重要視し、昨年9月に若手中心のまちづくり会議を立ち上げた。新発想の仕掛けを展開する狙いで、まちなかを一つの舞台に見立てた多彩なイベントや回遊型まち歩き実証実験などに取り組む予定だ。

「子どもたちの記憶に残るまちなかをつくることがわれわれのミッション」。川崎社長は力を込める。

▼時代に合った

まちなかに残る伝統文化も、スタイルに変化の兆しがみられる。

南町2丁目商店街に伝わる太鼓。100年近い歴史を誇り、水戸黄門まつりの風物詩として根付く。商店街の人たちが継承し、守り抜いてきた。一方、少子高齢化の波にはあらがえず、近年は商店街の外からも太鼓のたたき手を募るようになった。

太鼓歴50年超の指導役、中村真一さん(70)は「当初は戸惑いもあったが、今は本当に良かったと思える」と語る。現在は、若者中心に約30人が伝統を受け継ぐ。

若者らは太鼓のテンポ、見せ方、演出、衣装など、新しい知恵や発想ももたらし、新しい太鼓文化が築かれつつあるという。「伝統文化も時代に合ったスタイルに変えていく必要がある。南町2丁目の太鼓は、まだまだ発展途上中」と中村さんは強調する。

長い歴史の香りと新しい息吹。水戸のまちなかは再生への道を歩みつつある。



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