次の記事:【速報】大子町にツキノワグマ出没 茨城県が注意喚起 

《連載:2026衆院選・茨城 課題を追う》(5) 医療 コスト増 病院経営厳しく

手術支援ロボット「ダビンチ」を使った手術=水戸市双葉台
手術支援ロボット「ダビンチ」を使った手術=水戸市双葉台


1943年に開院した水戸済生会総合病院(茨城県水戸市)は、生活困窮者の救済や「医療での地域の生(いのち)を守る」が理念。年間3200件の救急搬送を受け入れる。急性期医療と最先端の高度医療の機能を併せ持つ、県央・県北地域約90万人の医療の最後のとりでだ。

だが、近年の経営状況は厳しい。決算は2022年度から3年連続で1億円超の赤字。「本年度は11月時点でマイナス4億7000万円」と、生沢義輔(よしやす)院長(61)の表情が曇る。

医薬品費やガーゼ、注射器といった診療材料費は、22年からの3年間で約3割高騰。他業種との人材争奪戦が激しくなる中、医師や看護師らの確保と流出を防ぐために人件費は年々増加する。

高度医療に必要な機器は高額な運用費や維持費の負担が重い。がん放射線治療装置「リニアック」は更新に5億円が必要だ。手術支援ロボット「ダビンチ」は導入に3億~4億円かかったが、一定数の手術実績を重ねるまで診療報酬の加算は算定されない。

厚生労働省の調査によると、24年度の全国の一般病院の利益率は1施設当たり7.3%の赤字。平均赤字額は約2億6000万円に上る。国公立、民間のいずれも赤字で、茨城県では県立中央病院(同県笠間市)など県立3病院が過去最大となる計15億円の赤字となった。

一方、日本世論調査会の昨年11月のまとめによると、社会保険料の負担が「重い」と感じる人は86%だった。少子高齢化に伴い、医療や福祉を支える現役世代の負担感と不満が増大する。

政府は医療機関の経営改善に向け、本年度補正予算に医療従事者の賃上げや病床削減に関する支援を盛り込んだ。26年度の診療報酬改定では、医師の技術料や人件費に当たる「本体」部分を引き上げ、全体で2.22%のプラスとした。

その上で、医療費の自己負担を抑える「高額療養費制度」を見直し、患者の自己負担上限額の最大38%増を決定。市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」の追加負担も決め、社会保険料の軽減を目指す。

今回の診療報酬改定で、物価対応分の引き上げ幅は0.76%にとどまった。生沢院長は「物価上昇分に全く追い付いていない」と強調。病院の維持へ、当面は一部の仕事を医師以外に任せる「タスクシフト」の推進などで、収入増につながる加算の上乗せを図る。

本年度からは新たな取り組み「病院のサポーターづくり」を始めた。大型商業施設に医師らが出向き、積極的に生活習慣病に関する講演や医療相談を開く。病気の予防で地域に貢献し、いざという時に頼ってもらえる病院を目指す。

社会保障改革をどう進めるべきか。生沢院長は「診療報酬の引き上げと現役世代の負担との慎重なバランスが必要」と指摘。その上でこう訴える。「このままでは地域に受診できる病院がなくなる。国民皆保険を守るため、診療報酬増に理解をお願いしたい」(おわり)



最近の記事

茨城の求人情報

https://cpt.geniee.jp/hb/v1/207318/39/instbody.min.js"