茨城・古河老健殺人 84歳殺害「証拠ない」 弁護側が反論 水戸地裁公判
茨城県古河市の介護老人保健施設で2020年、入所者2人に点滴器具から空気を注入し殺害したとして、殺人などの罪に問われた元職員で同市、赤間恵美被告(40)の裁判員裁判第27回公判が24日、水戸地裁(山崎威裁判長)で開かれた。鈴木喜作さん=当時(84)=殺害に関する論告と弁論があり、検察側は「総合した事実関係から被告が犯人と十分推認できる」と主張。弁護側は殺害の直接の証拠はないと反論した。
公判では他殺か病死かの事件性と、被告による犯行かどうかの犯人性が争点になっており、いずれも双方の主張が分かれた。
起訴状によると、被告は同市の老健施設「けやきの舎(いえ)」で、同年5月30日に鈴木さんに、同7月6日に吉田節次さん=同(76)=に、いずれも点滴用チューブにシリンジ(注射筒)をつないで空気を注入し、空気塞栓(そくせん)による急性循環不全で殺害したとされる。
検察側は、特殊な手口であり、器具の扱いに慣れた看護師の犯行の可能性が高いと主張。当時、被告以外に鈴木さんの部屋に入った人がいない点や、事件後に被告がロッカー内にシリンジを所持し、その理由についてうそをついた点などを挙げ「どれか一つの事実が決定打ではなく、総合的に検討して判断するべきだ」と訴えた。
死因に関しては、専門医の証言などを踏まえ、外部から多量の空気を静脈内に注入できるのは「腕の点滴用チューブを介したルートしか考えられない」と指摘。直近の健康診断で正常だった鈴木さんに、急死するような体の不調はなく「空気塞栓以外の原因で死亡した現実的可能性は認められない」とした。
一方、弁護側は、司法解剖が行われておらず「死因は何ら証明されていない」と反論。鈴木さんには半身まひなどがあり、血栓が肺動脈に詰まる「肺塞栓」などで病死した可能性があるとした。
部屋に入る被告を見たという職員の目撃証言については、供述に変遷があり「信用できない」と主張した。
意見陳述に立った赤間被告は「私は空気を注入していませんし、殺害していません」とあらためて否認した。次回公判から吉田さん殺害に関する審理に移る。










