《東日本大震災15年》防災教室 歌や踊りで 北茨城の消防団員・江森さん 60回超開催 子どもに自助意識付け
自分の命は自分で守ってほしい-。茨城県北茨城市の女性消防団員、江森美千代さん(64)は2011年の東日本大震災をきっかけに、子ども向け「防災教室」に力を入れている。未曽有の揺れに立ち尽くす児童を見守った経験から意識を高めてもらおうと、行動に移した。独自に考えた歌や踊りを交えた教室を開催し、回数は延べ60回を超えた。あの日から15年、震災を知らない世代に災害時の対応を伝えている。
「地震の時は頭を守ろう」「津波の時は高いところへ走るよ」
1月16日の同市関南町の市立関南小体育館。江森さんと1~6年生約120人の元気な歌声が響き渡った。
教室は「楽しく体を動かしながら勉強する」よう工夫されている。江森さんは、アヒルのように体を丸め頭を守る体勢やチーターのように走る姿勢など動物の特徴を取り入れた歌や振り付けで、災害時の対応を教える。児童たちは江森さんのお手本を見て、体を動かし動作を覚える。
内容は災害時の身の守り方だけにとどまらない。「人を助けられるようになってほしい」との願いを込め、自動体外式除細動器(AED)の使い方や心肺蘇生の方法も指導。他の消防団員や先生らの手も借り、人形を急病人に見立てた劇も披露する。
11年3月11日。震度6弱の揺れが北茨城市を襲った。江森さんは災害対応に奔走する消防団員の後方支援や救援物資の配給、被災者のケアに当たった。
当時は在宅中で、下校中の児童が恐怖で泣く様子を間近で目撃した。「どうすればいいの」。揺れが収まるまで寄り添った児童の問いかけが江森さんの行動を促した。「災害はいつどこで起きるか分からない」。小さい頃から自分の命を守る意識を身に付けてもらいたいとの思いを募らせた。
オリジナルの歌と踊りを考案し、13年1月から防災教室をスタート。市内の幼稚・保育園や小学校を中心に巡る。
ポップな歌詞は子どもたちの耳に残る。学校生活支援員として学校を訪問する時や街中で会ったときに、子どもたちが歌や動きを披露してくれ、やりがいを感じている。
同県高萩市の小学校で当時被災したという北茨城市立関南小の稲垣美紀校長は「子どもたちは初めての経験。パニックになっていた」と回想。その上で「(授業で防災を扱うと)堅苦しくなり頭に入りづらい」と指摘する。江森さんの防災教室については「(子どもたちの)反応が良い。防災を考えるきっかけになる」と高く評価する。
歌を録音したCDも制作。市内の小学校に配っており、朝の会での活用を期待している。最終的には「今の子どもたちが家庭を持った時に、震災や命の守り方を教えてもらえるとうれしい」と力強く語った。











