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成長早い「少花粉スギ」開発 需要応え花粉症も低減 森林総研育種センター 茨城

開発した少花粉スギ品種を確認する責任者の田村明課長=日立市十王町伊師
開発した少花粉スギ品種を確認する責任者の田村明課長=日立市十王町伊師


花粉症の原因となるスギ花粉の飛散がピークを迎える中、森林総合研究所林木育種センター(茨城県日立市十王町伊師)が成長性に優れた「少花粉スギ」の品種を開発した。ほとんど花粉を生産しない上、樹木としての成長も早いため木材需要にも応えることができるのが特徴。国は国民病とも言える花粉症の低減に向け少花粉スギ苗へ植え替える目標を設けており、同センターは2028年度にも自治体や林業事業者と組んで新品種の苗木の普及を進める。

開発した品種は「スギ林育2-273」。成長の早さや材質の良さを持つ「エリートツリー(特定母樹)」に、少花粉の特徴を併せ持つ品種を作った。開発は国内初という。

同センターは敷地内や同県城里町の国有林で、スギ林育2-273のクローン樹を使って評価を行った。その結果、雄花が花粉を生産する性質が低い少花粉スギの特徴を持ち、植えてから10年時点の高さが他の品種平均8.7メートルよりも高い12メートルと成長性にも優れていることを確認した。

これまでは「花粉量が半分以下」という基準を満たした品種があり普及してきたが、花粉を出さない少花粉スギ品種のニーズが高かった。今回、6年ほどをかけてエリートツリーの中から少花粉スギの特性を持つ品種ができた。林業用の苗としても良いという。

スギ花粉症は国民の約4割がかかっていると言われ、大きな社会問題になっている。

23年度の花粉症に関する関係閣僚会議では、初期の集中対応策が話し合われた。発生源対策では、少花粉や低花粉を含む花粉の少ないスギ苗に植え替えていく。林野庁によると、苗木生産量に占める割合を全体の約6割(23年度)から33年度までに9割以上に引き上げる目標を掲げた。特に関東は首都圏を抱えるため花粉の少ないスギが求められてきた。

一方、農林水産省は成長性に優れたエリートツリーなどの活用を9割以上とする指標も定めた。

同センターは新品種を成長性の優れた系統として指定し、普及する。苗木を安定的に供給し、都県や認定事業者からの求めに応じて配布する。県内では苗作りに取り組む県林業技術センターとも協力する。

開発担当者で育種第二課の田村明課長(農学博士)は「成長に優れた苗木を使うことで、林業にかかる初期のコストを減らしたり、森林の二酸化炭素(CO2)吸収を高めたりすることにつながる」と強調。花粉発生源の対策に「大きく貢献すると期待される」と語った。

★エリートツリー

成長の早さや材質の良さ、幹が真っすぐに伸びるなど優れた遺伝子を持つ品種のうち、交配により生まれた第2世代以降の樹木の総称。林木育種センターが全国各地で開発し、24年3月末時点でスギは686系統、うち関東甲信を含む関東育種基本区では170系統がある。優良な「特定母樹」に指定し、気候や地域性、目的に応じて普及する。



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