増える外国籍消防団員 茨城県内16人、活動に「国籍の壁」
茨城県内で外国籍の消防団員が増えている。昨年4月時点で11市町で16人が活動しており、地域防災の担い手として期待される。ただ外国人の活動には制限がある。公務員である消防団は、日本国籍が必要な「公権力の行使」を伴い、「国籍の壁」がある。少子高齢化で団員数の確保が難しくなる中、県内自治体からは「国籍で制限するのは心苦しい」との声が上がっている。
■5年で2倍超
消防団は、条例で国籍条件などの規定がなければ外国人でも加入できる。昨年は全国で684人。消防庁が統計を取り始めた2020年の約2.5倍に増えた。県内でも同年4月時点の7人から5年間で16人まで増えた。
ただ外国人は現場に駆け付けても日本人と同じ活動ができない。消防団員は非常勤特別職の地方公務員。人の権利や義務に関わる「公権力の行使」は日本国籍が必要という公務員の基本原則があるためだ。
消防庁は昨年1月、外国籍の団員に関する活動例を全国に通知した。運用はそれまで各自治体で異なっていたが、一定の目安を示した。外国人ができない活動として、火災現場で関係者に情報提供を求めることや、立ち入りを制限する消防警戒区域の設定、延焼防止や人命救助で火災が起きた建物を壊したりすることなどを挙げた。
■制限に心苦しさ
県内で外国籍の団員がいるのは、9市2町(土浦、下妻、取手、牛久、那珂、筑西、坂東、神栖、行方、大子、阿見)。各市町に1~2人が活動している。
このうち消防庁通知を受けるなどして外国籍の団員の活動を制限しているのは7市。那珂市では消防車両の運転はできない。筑西市は放水用ホースの延長と筒先を持つことができない。
そもそも団員が現場で公権力を行使する場面はほとんどないとの指摘もある。土浦市は「前線は消防職員が担い、団員は主に指示を受けて後方支援に当たる」と説明する。
一方、高齢化で消防団員が少なくなる中、外国人の活動範囲を広げたいという声もある。取手市は「地域のために入ってくれたのに、国籍で制限するのは心苦しい」と明かす。
下妻市は「活動の縛りで消火が遅れ、救えたはずの人命と財産が失われるかもしれない」と懸念する。坂東市は「人手が足りず、制限なく活動してもらえるのが一番」と要望する。
■孤立を減らす
関西大社会安全学部で消防行政が専門の永田尚三教授は「少子高齢化の進む地方自治体にとって団員数の確保は難題」と前置きしながら、「人口が増える外国人の団員が日本人と同様に活動できるのが望ましいが、消防庁の通知で自治体の判断の余地は狭まった」と指摘する。
先進的な運用例として愛知県西尾市を挙げ、「ペアを組む日本人の指示の下であれば公権力公使に当たる活動もできると解釈している」と説明。外国人が地域防災を担う効果について「住民と関係が深まり、非常時に自身や仲間が孤立する可能性を減らせる」と強調する。
★消防団
消防組織法に基づいて各市町村が置く消防機関。団員は仕事や学業を持ちながら火災や災害現場に駆け付け、消火や救助、避難誘導を行い、消防職員の活動を補う。出動手当や年額報酬が出る。全国の団員数は減少の一途をたどる。消防庁によると、2023年は約76万人で10年前より約10万人少ない。39歳以下の割合は55%から約37%に減り、高齢化も進む。少子化や会社勤めが増えたことが一因とされる。団員数の確保へ、広報や通訳など特定の活動に参加する機能別団員・分団を設ける団もある。











