増える外国籍消防団員 活動制限「理解できない」 独英国籍のラッジさん、同じ働き願う 茨城
外国籍の消防団員が茨城県内で増える一方、公務員として「公権力の行使」を伴うため、活動の範囲が限られる。3年前から那珂市消防団の一員として活動するジェフリー・ラッジさん(47)=ドイツ、英国籍=は「制限があると団のみんなに迷惑をかける。理解できないルール」と主張。団員の高齢化も踏まえ、地域防災の担い手として期待されているだけに、市側も「国籍に関係なく活動してもらいたい」と歯がゆさを訴える。
■「放水、止め!」
消防団の制服を着たラッジさんが叫ぶと、別の団員が構えたホースからの放水が止まった。平日夜、同市瓜連地区を担当する消防団第8分団のメンバーとともに、消防操法大会の練習に励んでいた。
走った際にズボンのベルトが緩み、「トナカイ(の鈴)みたいな音がする」と冗談交じりに相談すると、団員の吉村直人さん(61)が笑みを浮かべながら助言した。仲間からは「ジェフ」の愛称で呼ばれ、親しまれている。
■市への恩返し
スイス生まれフランス育ちのラッジさんは日本人の妻と結婚し、21年前に市内へ移住。義父の跡を継ぎ、市内の工房で水府提灯(ちょうちん)の火袋を手がける。「何事も経験」と中学校のPTA会長を務めたこともある。
入団は2023年6月。近所の吉村さんに誘われ「市への恩返しに」と二つ返事で了承した。コロナ禍のちょうちん作りを市の補助金で支えてもらい「自分のまちを守って、良いことをしたい」と考えた。
所属する第8分団3部にとっては5年ぶりの新メンバー。井川雅仁部長(64)は「慣れるのは大変だろうがすごく一生懸命で頭が下がる」と感謝する。
火災現場の出動はまだなく、休日の消防車両の点検や訓練で備える。非常時は英、仏、独の3カ国語による通訳業務も行う予定だ。
■「国籍関係ない」
同市の消防団員は401人で、このうち外国人はラッジさんとインドネシア出身男性の計2人(25年4月時点)。寺門薫市消防長は「地域のために働く気持ちに、国籍は関係ない」と歓迎する。
一方で、公権力行使の壁は高い。外国人は、火災現場で関係者に情報提供を求める▽延焼防止や人命救助で火災が起きた土地や建物を使ったり壊したりする▽立ち入りを制限する消防警戒区域の設定-などができない。市は25年1月の国の通知を受け、制限を守るよう団幹部に周知した。
市担当者は「国の通知はどこまでが『消火活動』かあいまい。現場で(制限に)抵触しないよう職員が注意するしかない」と嘆く。寺門消防長も「一刻を争う人命救助の現場で判断に迷いが出てしまう。縛りがあるのは残念」と、疑問を呈する。
「家や家族以外の居場所」と、すっかり団員として溶け込むラッジさん。「日本人(団員)じゃないと、助けられないことがあるのはおかしい。チームで同じ活動ができた方がいい」と強く主張した。











