《リポート2026》守谷市人口30年ピーク 公共サービス「賢く縮小」に転換 業務効率化、量から質へ 茨城
茨城県守谷市は新年度から、人口減少を見据えた行政運営へとかじを切る。つくばエクスプレス(TX)開業に伴う宅地開発で急成長した勢いも落ち着き、数年後には人口がピークに達するからだ。市は「スマートシュリンク(賢く縮む)」という考えを取り入れ、拡大路線から転換する。「単なる縮小ではない」とサービスの量よりも質を追求していく考えだ。
■施政方針で表明
3月市議会の冒頭。市政運営の基本方針を示す演説で松丸修久市長は国内の少子高齢化問題に触れ、「これまでの成長を前提とした社会システムは持続可能性の限界を迎えている」と指摘した。守谷についても「この現実を直視し、令和8年度は人口減少を前提とした自治体運営という考えの下、『ダウンサイジング・イノベーション』と『スマートシュリンク』を強力に推進する」と表明した。
スマートシュリンクとは人口減少を前提に戦略的に公共サービスやインフラを再編・集約する考え方をいう。大事なのは生活の質を維持し、人々のウェルビーイング(幸福感)を損なわないことだ。
松丸市長も演説で「単なる縮小を意味するものでない。地域社会全体の質的向上を目指す前向きな変革」と加えた。
■4年後ピーク
2005年のTX開業による沿線の宅地開発で発展してきた同市だが、人口減と税収減に直面する。人口は20年間で約1万7000人増え、常住人口は7万人台を突破した。一方で大規模な宅地造成も終わり、人口の伸びは鈍化している。直近10年間では16年に807人。19年の820人が最高で、その後は減少傾向になり、23年283人、24年206人、25年188人となっている。
市が独自算出した人口の推移は4年後の30年にピークを迎え、減少に転じる。さらに40年には65歳以上の高齢化率は30%を超すとされる。26年度に人口推計を見直す予定だが、市は「シビアになりそうだ」とし、ピークの前倒しが見込まれるという。
■「今やらないと」
当面取り組むのは全庁的な業務見直しだ。26年度は特命部署を立ち上げ、業務を総点検して必要性を検証し、27年度の組織改編につなげる。デジタルトランスフォーメーション(DX)にも力を入れ、ペーパーレスやマイナンバーカードのひも付けを進め、業務を効率化させる。将来的には窓口業務の縮小などで職員数を減らして人件費を抑えたい考えで、市幹部は「小さくても強い行政を目指したい」と話す。
新年度予算案の記者会見で松丸市長は「『えいやっ』でやらないとなかなか動かない。10年、15年先を見た時に(今から)合理化をやらないといけない」と強い決意を示した。
茨城大の井上拓也教授(公共政策)はスマートシュリンクの進め方について、「サービスの費用と効果を情報開示しないと住民の納得感は得られない。住民にただ『我慢してください』と言うのではなく、利便性や質向上を目に見える形で示す必要がある」と述べる。











