無痛分娩、急変にも対応 茨城県産婦人科医会 講習会で人材育成 安全確保へ体制整備
出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の増加に伴い、茨城県内の医療現場で安全確保に向けた動きが進む。過去には全国で重い合併症や死亡事例も起きており、県産婦人科医会は講習会を通して、分娩中の急変に対応できる医療人材を育成する。各医療機関も診療科同士の連携を深めるなど、万全の体制を心がける。同医会の長田佳世副会長は「安全対策が重要」と改めて強調する。
「無痛分娩は適切な体制と準備、日頃の訓練があってこそ安全に行える」
2025年12月、水戸市の水戸赤十字病院。無痛分娩に伴う急変対応の講習会が同医会の主催で開かれ、長田副会長は声を大にした。
局所麻酔薬中毒や全脊椎くも膜下麻酔といった合併症を想定し、予防と早期発見、対応を学ぶ講習。無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の認める内容で、無痛分娩増加に伴い24年度から始めた。
この日は午前と午後の2回、定員を満たす計36人が受講。応募多数で参加を断るケースもあったといい、医療関係者の関心の高さがうかがえる。
会場となった同病院では25年12月から産痛緩和法(無痛分娩)を導入した。実施は毎週水曜日の1件に限定。分娩が長引きやすいといったリスクがある初産婦は除くなど、対象を絞り込み安全性を高めている。これまでに4件の分娩を行い、いずれも安全に終えた。
また豊沢秀康第一産婦人科部長は、導入に当たって自ら周産期の専門医を取得したり、麻酔科の研修を受けたりし、知識を一層深めた。「他の診療科や多職種が一体となる『チーム医療の集大成』として臨みたい」と横の連携を強化し、体制整備にも余念がない。
無痛分娩は、背骨の中の硬膜外腔に細い管を入れて薬を注入する硬膜外麻酔が一般的。JALAによると、痛みを少なくして妊婦の負担を減らせる。さらに脳血管、心臓に病気がある場合などに、負担軽減のため医師が勧めることもある。ただ、重い合併症などのリスクもあり、17年には県外で死亡事故があった。
日本産婦人科医会の調査によると、全分娩に占める無痛分娩は24年に13.8%で、5年間で2倍以上に伸びた。少子化対策で無痛分娩の費用を支援する自治体もあり、25年度から取り組む取手市では支給が130件を超えた。無痛分娩はさらに拡大していく流れにある。
長田副会長は「急速に広まる中、安全対策に努めなければいけない」と力を込めた。










