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日立のサクラ継承 市職員の樹木医 鈴木さん、植え替え奔走 茨城

平和通りの桜並木で開花状態を確認する鈴木紀裕さん=日立市鹿島町
平和通りの桜並木で開花状態を確認する鈴木紀裕さん=日立市鹿島町


「さくらのまちづくり」を掲げる茨城県日立市で、樹木医の鈴木紀裕さん(38)=市さくら課主幹=が奮闘している。市内には戦後復興で植えられた「平和通り」の並木やかみね公園などサクラが多いが、樹齢70~80年の老木もあり維持管理が課題。市は積極的な植え替えを進めており、県内にわずかしかいない〝公務員樹木医〟として計画作りや現場作業に奔走する。ソメイヨシノの県内での開花が始まり、本格的な春が訪れる中、木々の目配りに余念がない。

「今年も順調に開花してくれた。一安心」

27日、同市の平和通り。鈴木さんは木の状態を確かめ、笑顔を見せた。「開花期間はわずか2週間。咲かせるまでの350日は地道な管理の仕事。見る人が喜んでくれるのが一番うれしい」とやりがいを語る。

市の公園や街路の管理のほか、計画作りや小学生向けの講座での講師を務めてきた。木の状態に合わせた業者への発注や、相談業務、県内外の樹木医ネットワークによる最新情報の活用にも力を注ぐ。

大学で土木工学を学び、造園会社に就職した後、市の土木職に転職。入庁後、行政側にも木の専門知識を持つ職員が必要と考え、資格取得を目指した。700ページの参考書を抱え1年半にわたって昼夜猛勉強し、2023年12月、試験に合格。市では初めてで、県内の樹木医50人余のうち行政職は3人のみという。

■更新計画

日立のサクラにまつわる歴史は古い。明治から昭和時代にかけ日立鉱山の公害克服のため、煙に強いオオシマザクラを山に100万本以上植えた。県内最多の約1500人の市民が亡くなった戦争の復興を願い、JR日立駅前の1キロに並木を作り120本余を植樹。平和通りと名付け、日本の「さくら名所100選」にも選ばれた。

市民に親しまれた平和通りの並木だが、老木が増え倒れる危険が出てきた。市は18年度から、定期的な植え替えや管理をするための更新計画に着手。19年にはさくら課を発足させた。

鈴木さんは24年度の平和通りの第2期計画作りに関わった。樹木医になって分かったのは「想定以上に弱って危険な木が多い」ことだ。木の健康状態の点検や治療を含め更新を計画に盛り込んだ。

■力尽くす

「桜のトンネル」と親しまれた並木の伐採と植え替え後は「年配の方からお叱りを受けることがあった」。管理と景観の間でジレンマもあるものの、市は計画の重要性を説明し、理解を深めたい考えという。

小川春樹市長は「歴史あるサクラは市の宝で、誇り。次世代に引き継ぐことが大切」と見据える。

鈴木さんはクビアカツヤカミキリなど新種の病害虫対策や木の健康診断での新しい手法にも目を向ける。「妥協せず、樹木に誠実に仕事をしたい。市民や企業と手を取り合い、保存に力を尽くしたい」。平和通りのサクラは4月2日ごろ満開を迎える。



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